収穫している段位は4〜5段目が中心です。
以前は、ほとんど発生していなかったのですが…
発生が目立つようになってからでも、空洞果の対策はできますか?
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
空洞果の発生って、せっかく果実が実っているのに、正常果を同じ管理をしているのに、何で発生するの?
って、発見した時は、なんだか悲しくなりますよね。
今回は、トマトの空洞果について解説します。
トマト空洞果の発生原因
空洞果の発生したトマトを見ていると、あともう少し肥大すれば普通の形のトマトになったのに。。
と思う方も少なくないのではないでしょうか?
なぜ、もうひと踏ん張りできなかったのか?発生の原因を解説します。
果実内のゼリー部の充実が悪くなる
空洞果の発生した果実を、赤道部にそって切って、断面を観察するとわかりやすいと思いますが、ゼリー部の充実が弱くなり、空洞ができています。
なぜ、ゼリー部の充実が悪くなるのか?
トマトの株の栄養状況(草勢)が悪い時に、開花した花は、いくら着果促進処理や、マルハナバチで訪花しても、結実しません。
これは、その時にトマトの株に十分な養分がないからです。
これに対し、空洞果の発生は、開花、結実はできたけど、その後、果実が肥大する時期に、株の養分が不足すると発生しやすいです。
例えば、株の草勢は維持されていても、雨天、曇天が続いた場合などで、光合成産物を十分作れなくて発生が多くなります。
高い収穫段位(4段目以降)も、低段の果実の着果、肥大負担により、草勢が落ちた状態で肥大を行うため、空洞果の発生が多くなりやすいです。
ホルモン処理での着果は空洞果が発生しやすい
ホルモン処理で結実した果実からは、稔性(採種して種をまいたら発芽する)のある種子は形成されません。
種の形をしたものは形成されますが、稔性のない種子です。
トマトの果実の中のゼリー部は、種子の充実や保護を行う働きがあるため、稔性のない種子に対しては、ゼリー部自体の発達が弱くなり、空洞果の発生につながってしまします。
トマト空洞果の対策
トマトの空洞果は、結実後の肥大期後半にならないと、発生が確認しにくいです。
空洞果の発生が確認できた時には、通常の果実へ行うのとかわらない、資材や労力を使用してしまします。
せっかく、結実させるのであれば、空洞果防止につながる管理も意識して、最大限の収量を狙いましょう。
ここでは、実際の栽培現場で対応が可能な、空洞果発生の対策について解説します。
摘果管理による草勢の維持
特に低段(1〜2段目)の果実の着果数を制限して、栽培期間とおして波がでないように、草勢管理をする事が大事です。
低段に多くの果実を実らせていると、上段(5〜6段)の果実の肥大期に、十分な養分が確保できなくなり、空洞果の発生につながりやすくなります。
摘果管理による、草勢管理は、空洞果の発生だけでなく、波のない収穫管理や、品質の安定化に大事になります。
雨天、曇天が続く場合の草勢管理と摘葉管理
気象条件によって、太陽光が少なくなると、株の中で使用できる養分の絶対量が減ります。
この時に大事になるのは、使用できる養分を、茎葉ではなく、果実に送る事です。
そのためには、
2:雨天、曇天が続く時は、摘葉管理などで積極的に果実を太陽の光にあてる(果実温度があがり養分が転流しやすくなる)
方法で対応します。
過繁茂を防ぐ管理は、雨天曇天が続くようになってからでは、間に合わないので、定植後からの栽培管理から意識する必要があります。
花粉による受粉管理
花粉による受粉管理を行うと、種子が形成され、果実内のゼリー部の充実も良くなります。
トマトの生理生態で考えると、花粉で受粉するのが自然の事なので、空洞果の発生の対策というよりは、発生しにくくするための方法という位置づけになります。
ただ、花粉によって受粉された果実も、草勢や気象条件によっては、空洞果が発生します。
ホルモン処理を行う時は、ジベレリンを使用する
最近は、マルハナバチの使用が簡単ではない事や、低温期の栽培ではどうしても、ホルモン処理に頼らなければないらい場面が多いです。
ホルモン処理を行う時に、使用するトマトトーンに、ジベレリンを加えて、同時に処理すると空洞果の発生が抑えられます(完全には防ぐ事はできません)。
トマトトーンと水を混ぜた液に、10ppmジベレリンを加え、通常のホルモン処理の方法で花房へ散布します。
空洞果の発生が心配される時期や、段位の花房へ処理します。
ジベレリンには、協和粉末のタイプと協和液体のタイプがあり、植物生長調整剤として扱われます。
ぶどうの着粒安定、果粒肥大促進にも利用されており、トマトの空洞果防止にも効果があります。
協和発酵バイオ 植物調整剤 ジベレリン協和粉末 3号 200mg
トマトのホルモン処理(トマトトーンの利用)方法については、こちらの記事も参考にしてください。
トマトの果実の付きを良くするために、「トマトトーンを使うと良いよ」と、知り合いのトマト農家さんから勧められました。ホームセンター等で、よく商品を見かけますが、どのように使うものなのかイメージがわきません。使い[…]
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy tomating!!