オススメ!トマト栽培で塩水灌水【簡単糖度アップの方法】

質問する人
トマト栽培の情報をネットで集めていたら、塩水で灌水をして糖度を上げる技術が紹介されていました。
塩水で灌水すると、トマトが枯れちゃうんじゃないかと思ってしまうのですが、このような方法もあるのですね。
塩であれば準備するのも難しくないので、ちょっと興味あります。
どれくらい効果的で、詳しくはどのような方法なのか教えてほしいです。

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。

国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市でトマト農家をしています。

 

このブログは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等を紹介する内容となっています。

 

高糖度トマトの栽培も行っており、いつも塩水で灌水する方法を行っています(簡単で確実に糖度があがるから)。

 

今回の記事では、過去の栽培で経験したノウハウも含め、塩水灌水でトマトの糖度を簡単に上げる方法を解説します。

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トマト栽培で塩水灌水をオススメする理由

トマト栽培で塩水灌水をオススメする理由

トマトの糖度を上げるには、いくつかの方法がありますが、僕の一番のオススメの方法は、この塩水で灌水する方法です。

まずは、塩水で灌水を行う特徴について解説します。

簡単に安定してトマトの糖度が上がります。

灌水する水に塩を加えて行うと、萎れによる枯死のリスクが減り簡単、確実にトマトの糖度アップが期待出来ます。

ここでは、ハウス内の雨よけの環境で、土壌内の水分コントロールを行いやすい、プランターを利用したトマト栽培を例に解説を行います。

最もシンプルにトマトの糖度の上げる方法は、灌水の量を少なくする事です。

プランターを利用する栽培は、使用する培土の量が少なく、灌水のコントロールをしやすいのですが、高糖度のトマトの収穫を狙う場合、積極的に灌水を控える必要があります。

こまかく、灌水の管理を行い、培土内の水分を確認できれば良いのですが、灌水を控えると、しおれが強くなり、その状態が続くと枯死するリスクも高くなります。

灌水を控えて、糖度が上がる管理をすればするほど、水分不足による枯死が発生しやすくなります。

一方、塩を加えて水で灌水管理を行った場合、灌水の量を調整しなくても、ある程度灌水量を控える効果がでます。

培土内の水分が少なくなるタイミングを待たずに、灌水を行っても、トマトに吸収される量を調整する事ができます。

言い方を変えると、塩水で普通のトマトの灌水管理を行えば、高糖度のトマトになります。

土壌の状態に関わらず、機械的に灌水管理を行える事は、栽培の経験がない方でも、高糖度の管理を行いやすく、大きな特徴となります。

トマト栽培で塩水の灌水するようになったきっかけとは?

トマトのブランドで「塩トマト」の名前を聞いたことがある方は少なくないと思います。

熊本県の干拓地(浅瀬の海の海水をなくして、陸地にすること)で栽培されたトマトの中で、糖度の高いものをブランド化して販売されているものです。

もともとは、通常のトマト栽培が目的でしたが、塩分が含まれている土地で栽培しているため、これが、トマトへの塩類ストレスとなり、高糖度の果実が収穫された事が商品化のきっかけとされています。

素朴な疑問「トマトはしょっぱくなるの?」

塩水を利用したトマト栽培の話をすると、いつもされる質問がこれです。

答えは、しょっぱくはなりません。甘くなります。

塩水を灌水に利用する目的は、トマトの植物体内で塩を利用するわけではないので、トマトの果実の食味に直接、塩が影響する事がありません。

 

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なぜトマト栽培で塩水灌水すると甘くなるのか?

さきほどの項では、塩水で灌水する事で、簡単にトマトの糖度をあげる事ができると解説しました。

では、どのようなメカニズムで、塩水が糖度を上げる事に関係しているかを説明します。

浸透圧の原理を利用しています。

トマトの栽培管理と浸透圧の事を説明する前に、まず、根からの水はどうして、トマトの株の高い所まではこばれるのか?の説明を行います。

トマトの株の生長点は、誘引の仕方にもよりますが、人の背丈程度までは簡単に伸びます。

そして、その高い場所の葉や果実にも、根から吸収した水分は運ばれます。

このように、低い場所から高い場所に水分が移動するには、2つの働きが利用されています。

  1. 葉の気孔からの蒸散作用によって水が運ばれる
  2. 根から吸収される水と、植物の器官内の養分等の浸透圧よるもの

1・葉の気孔からの蒸散作用によって水が運ばれる

人間が汗をかくように、植物はの葉の気孔から植物体内の水分が蒸発されます。

この蒸散作用をきっかけに、根から植えの器官に水が運ばれます。

少々無理矢理ですが、ストローを使って水を飲む時の水の動きかたのイメージです。

 

2・根から吸収される水と、植物の器官内の養分等の浸透圧よるもの

根から吸収される水と、植物の器官内の養分等の浸透圧よるもの

浸透圧は、濃度の濃いものと、薄いものの差があるときに、均衡の状態をつくろうとして起こります。

図は、水と塩の例で解説していますが、どちらかの場所の濃度が高くなると、両方の濃度が均等になるように、濃度の薄い水が移動します。

これをトマト栽培の灌水時の場合で考えてみます。

シンプルに説明をするために、肥料の含まれていない、水を灌水するとします。

植物の体内は、光合成で作られた養分などによって、ある程度の濃度がある状態となっています。

そこに、根から吸収された水は、植物体内の濃度を均衡状態にするため、濃度の濃い場所(葉や果実など)に向かって移動します。

塩水で灌水を行うと、根から吸収される水分が少なくなる。

塩水で灌水を行うと、根から吸収される水分が少なくなる

正確に説明するのが難しいため、イメージとして参考にしてもらえばと思います。

塩を加えた水を灌水すると、塩水として根から吸収されるのではなく、

根に含まれている養分の濃度と、塩水の濃度の浸透圧によって、吸収される水の量が決まると考えられます。

塩水の灌水を、ある程度の回数行うと、根のまわりの土壌に塩類が残ります。

回数が多くなれば、土壌中に残る塩類の濃度も高くなり、その後の灌水時濃度が加わるようになります。

このような仕組みで、植物体内への水分が少なくなります。

極端に加える塩の濃度が、高くなければ、萎れたり、枯死したりしない量の水は吸収されます。

そのため、潤沢に灌水を行い、枯死のリスクが少なく、高糖度のトマトを生産しやすい方法となります。

トマト栽培での塩水灌水の方法

トマト栽培での塩水灌水の方法

この項では、塩類ストレスを利用する栽培方法を紹介します。

実際に管理をして、トマトの反応を見る事で知識も深まると思います。

灌水に使用する塩の濃度

灌水に使用する塩の濃度

液肥灌水の場合を例に解説します。

通常の灌水をEC2.0で行う場合は、塩をEC3.0分加えて、トータルでEC5.0の養液にセットします。

通常の灌水の肥料の濃度がEC1.5であれば、塩をEC3.5分加えますし、

肥料の濃度がEC2.5であれば、塩をEC2.5分加え、トータルで5.0になるように調整します。

なお、より強いストレスをかけて、糖度を上げる栽培をする場合は、加える塩の量を多くしてトータルEC8.0の養液で行います。

塩を加えた水で灌水を行う頻度

一度、塩を加えた灌水を開始すると、その後の全ての灌水を塩を加えた灌水とします。

塩を加えた水と、加えない水の両パターンで行う場合は、効果が安定しないためオススメしません。

塩を加えた水で灌水を始めるタイミング

塩を加えた水で灌水を始めるタイミング

3段目の花房が開花する時期を基準とします。

基準より前から、塩を加えた灌水を開始すると、糖度が高く、収量が少なくなりやすく、

基準より後に開始すると、逆の結果になります。

高糖度のトマトを収穫できる栽培管理がされているか確認する方法

1度や2度の処理では、トマトの生育に変化は確認できないですが、

1週間程度続けると、果実の方の色が変わり始め、その後、処理を続けると茎が細くなる事が確認できると思います。

果実のショルダーグリーンの色

果実のショルダーグリーンの色

果実が小さく、高糖度の果実へ向かっている
果実が大きく、収量が出やすい

茎の細さ

茎の細さ

茎を細く管理したほうが、維管束が小さくなり、水分、養分の吸収が少なくなり、糖度を安定して上げやすくなる。

塩を加えた水で灌水する時の注意点

塩類処理を続けると、糖度の高い果実が収穫しやすくなりますが、生理障害の発生増加など、デメリットになる事もあります。

尻腐れ果の発生

大玉トマトの高糖度栽培で、特に発生しやすくなる。(逆にいうと、ある程度尻腐れ果が発生していないと、トマトの糖度が上がっていない事が多い)

裂果の発生

特に、濃い養液で灌水を行っており、その後、急に濃度を低くする時に発生しやすい。

塩類の蓄積と次回の栽培への影響

塩を加えた養液で、灌水を繰り返し行うと、土壌中に塩類が蓄積していきます。

トマトは基本的に塩は体に取り入れないので、そのまま蓄積します。

この蓄積した塩類は、除塩の方法をとらなければ、そのままの状態となります。

同じ培土を次の栽培で使用すると、塩類ストレスの処理を行う前から、土壌内は高塩類の状態となります。

このような理由からも、ハウス内の土耕栽培で行うよりも、プランターや袋栽培など、使用する培土が少ない方法をとる方がオススメです。

一度使用した培土は使わず、次の栽培では新しい培土を使用するほうが、管理しやすいからです。

 

以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

とまと家・中島がお届けしました。

 

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