トマトの生理障害【発生原因と対策を解説】

質問する人

トマトの生理障害の質問をする人

生理障害って言葉はよく聞くのですが、正直どういうものかよくわかりません。

生理障害の発生の様子は、病気と似ていますがどのような違いがあるのですか?

トマトの栽培で発生しやすい生理障害とその対策を教えてください。

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、17年間トマト栽培を行っております。

 

国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市でトマト農家をしています。

 

このブログでは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等と紹介しています。

 


 

生理障害の症状は、病気の症状に似ているものが多く、一見区別が難しいです。

 

しかし、トマト栽培で発生する生理障害は数多くなく、発生しやすいものも限られているため、すぐに区別がつくようになります。

 

どの生理障害も、一度発生すると、対策をとっても症状が治る事はないですが、その後の発生を抑えるためには対策が必要です。

 

今回は、生理障害と病気の違い、トマト栽培で発生しやすい生理障害について解説します。

 

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生理障害はどういう障害?

生理障害はどういう障害?

 

「生理障害がどういうものか、よくわからない」と言われる主な理由は、

 

病気との違いがわかりづらいからです。

 

では、病気と生理障害の特徴を比較してみましょう。

 

病気の発生原因と特徴

 

病気の発生原因は、主に

  • かび(糸状菌)
  • 細菌(バクテリア)
  • ウイルス

によるものです。

 

これらの病原元は、植物または、土壌を住み家として繁殖、活動しトマトの体に害を与えます。

 

対象となる部位は、茎、葉、果実、花、根と全ての部位で発生します。

 

  • 胞子が発生
  • 部位が壊死
  • 部位が腐敗

などが主な症状です。

 

生理障害の発生原因と特徴

 

生理障害の発生原因は、主に

  • 特定の部位での特定の養分不足
  • 天候条件による特定部位の生育不良

によるものです。

 

かび、細菌、ウイルス以外が原因で起こる障害

というふうにもいう事もできます。

 

対象となる部位は、葉、果実で発生するものがほとんどです。

 

  • 部位が壊死
  • 部位が腐敗
  • 部位が変形
  • 果実の着色の不良

などが主な症状です。

 

トマトの栽培で発生しやすい生理障害

トマトの栽培で発生しやすい生理障害

 

トマトの栽培で発生しやすいものは以下の3種類です。

  • 葉先枯れ
  • 尻腐れ果実
  • 裂果
  • 空洞果
  • 乱形果
  • チャック果

 

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葉先枯れ

葉先枯れ症状

 

症状:

葉の先のみが枯れる

発生原因:

葉でのカリ不足

 

対策方法:

  • カリ中心の液体肥料の葉面散布で葉に直接カリを供給する
  • 根の環境の改善し根からのカリの吸収を促進する
  • カリと拮抗作用のある肥料要素のバランス改善(アンモニア態チッソ、カルシウム、マグネシウム)
  • 摘果による果実数の制限

 

葉先枯れの特徴、対策方などの詳しい解説はこちらの記事も参考にしてください。

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尻腐れ果

尻腐れ果実症状

 

症状:

果実の尻部分が腐る

発生原因:

果実でのカルシウム不足

 

対策方法:

  • 果実へのカルシウム剤の散布
  • 茎、葉へのカルシウム剤の葉面散布
  • 灌水量が少ない場合は積極的に灌水し根からのカルシウム吸収を促進する
  • 摘葉を行い葉の数を少なくし、果実で利用できるカルシウムの量を多くする
  • カルシウムと拮抗作用のある肥料要素のバランス改善(アンモニア態チッソ、カリ、マグネシウム)

 

尻腐れ果の特徴、対策方などの詳しい解説はこちらの記事も参考にしてください。

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裂果

ミニトマト裂果症状

 

症状:

果実の付け根部分や、肩の部分が割れる

発生原因:

果実への過剰な水分供給

 

対策方法:

  • 灌水量のコントロール
  • 摘葉による葉がきっかけとなる水分吸収のコントロール(蒸散によるもの)
  • 低温期の栽培の場合は夜間の保温を行い12℃以上の最低気温の確保
  • 夏場の栽培の場合、遮光管理やリーフカバーでの強い光が果実に当たる事を防ぐ
  • 裂果の発生抑制に効果のある葉面散布剤の利用

 

空洞果

空洞果症状

 

症状:

果実の一部がへこみ(果実内に空洞ができる)、形がいびつになる。

発生原因:

果実内のゼリー部の生育不良

 

対策方法:

  • 草勢が弱い時は、灌水追肥などの草勢回復の管理を行う
  • 曇天・雨天が続く時は、リン酸カリ中心の肥料で葉面散布する
  • ホルモン処理で着果促進する場合はジベレリンも共用する
  • 葉の茂りが強い時は、葉かきを行い果実に積極的に太陽の光を当てる

 

空洞果の特徴、対策方などの詳しい解説はこちらの記事も参考にしてください。

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トマトの空洞果【発生の原因と対策を解説】

 

乱形果(変形果)

乱形果(変形果)症状

 

症状:

果実の形が球状ではなく「ボコボコ」し、形が乱れる

発生原因:

対象の果実の開花30〜40日前の、低夜温での管理

 

対策方法:

  • 苗の生育時期に十分な夜温を確保し管理する(10〜15℃)
  • 苗の生育時期に過剰な肥料の施用を行わない

 

チャック果

チャック果症状

 

症状:

果実にチャックの様なすじ状の傷が入る
発生の程度が強い時は、穴があき「窓あき果」と呼ばれる

発生原因:

対象の果実の開花期、開花期前の極端な低温の遭遇、土壌の乾燥

 

対策方法:

  • 栽培期間中の十分な夜温の確保
  • 栽培期間中の十分な土壌水分の確保

 


 

以上、トマトの葉先枯れの発生理由、対策について、

 

「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

 

とまと家・中島がお届けしました。

 

Happy Tomating!!

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