以前まで、栽培に使用するトマトの苗は、業者さんから購入していたのですが、今後は播種からの作業を自分で行い、自家生産の苗を利用する予定です。
今は、セルトレイを利用する育苗方法が多く利用されていますよね。
ただ、資材のカタログなどを見ると、セルトレイにも色々な種類があって、どれを選べば良いのかわからないです。
資材の選び方と、セルトレイを利用するトマトの育苗方法のコツあたりについて、教えてほしいです
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
セルトレイを利用する育苗は、自分で苗を生産する人には必須の作業です。
資材の規格を使用する時期などによって使い分ける事で、作業の効率を大きく上げる事もできます。
今回は、セルトレイを利用するトマトの育苗について解説します。
トマトのセルトレイを使う育苗の特徴
最近では、播種から本葉2.5枚期前後までの育苗は、セルトレイを利用する事がほとんどです。
このような背景にはどのような理由があるのでしょうか?
播種から移植までの作業の効率化
セルトレイを利用する事で作業の効率化、省力化が可能になる事が一番の利点です。
作業の効率化につながる理由は主に以下のポイントです。
培土を詰めた状態でもトレイ1枚が計量で運搬性が良い
1株あたり必要最低限の培土を利用するため、運搬性に優れます。
この特性は、播種作業時はもちろん移植時にも役立ちます。
生育と同時に根鉢が形成され移植作業が容易となる
苗の生育に合わせて、根鉢が形成されます。
移植の作業の時に、根を崩す事なく、容易に移植する事ができます。
トレイの準備、播種作業に利用できる省力化資材が豊富
播種溝をつける道具や、コート種子に対応した、播種用の資材などが、セルトレイの規格に合わせて開発、販売されており、それらを使用する事でさらに省力化を可能にします。
高価な機械になると全自動で土詰めから播種、覆土、播種後の灌水まで、行うものもあります。
均一な苗づくりが容易となる
トレイの穴は、均一な形、大きさ、規則性で設置されているため、各株が均一な生育環境となり、揃った苗の生産を行いやすい。
トマトのセルトレイ育苗で使用するトレイの種類
セルトレイは、プラスチック製のトレイで、大きさは統一の規格で決められています。
規格の違いは穴の数、大きさ、その中に入り培土の量が変わります。
同じ大きさのトレイが基準にあるため、穴の数が多くなると、小さくなり、少なくなると大きくなります。
トマトの育苗現場でよく利用される、セルトレイの規格について紹介します。
セルトレイの大きさ
移植機や、育苗時に使用する周辺資材の利用を容易にするため、セルトレイ自体の大きさは、統一の大きさとなります(少々大小ありますが)
セルトレイの穴数
トマトの育苗で、よく利用されるセルトレイの穴数の規格は以下のとおりです。
- 72穴
- 128穴
- 200穴
- 288穴
- 448穴
ちなみに「穴」は「けつ」と呼びます。
72穴(72けつ)、128穴(128けつ)となります。
セルトレイの色
主に
- 黒
- 白
の2種類の色があります。
黒色の規格が多く利用され、白色のものは夏期の育行で、苗周辺の高温化を防止する目的で利用されます。
周辺資材
アンダートレイ
セルトレイは、多くの場合で、たわみを防ぎ安定して運搬等をできるように、硬質プラスチック製のアンダートレイに乗せた状態で、管理または運搬します。
防根透水シート
セルトレイの排水用の下穴から、根が超えていかないようにするための資材
セルトレイとアンダーの間に敷きます。
アンダートレイの規格に合わせて作られているものと、原反の大きさから自分で切るタイプのものがあります。
播種溝設置資材
培土をセルトレイに詰めたあとに、播種用の溝をつける資材です。
ローラータイプと、板状のもので押しつけて利用するタイプがあります。
播種用資材
コート種子に利用できる播種用の資材です。
セルトレイへの播種が俊速で行えます。
トマトのセルトレイ育苗のコツ
トマトの種まきの方法、発芽のコツはこちらの記事を参考にしてください。
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ここでは、セルトレイを利用する場合の育苗で、重要になるポイントについて解説します。
セルトレイの規格(穴数)は、128穴か200穴を利用する
128穴
200穴
トマトの一次育苗(播種〜ポリポットへ移植)でよく利用されるセルトレイの規格は、
です。
128穴の規格をベースにし、夏期の育苗期間が短くなる時や、育苗の資材、作業コストを下げたい時は、200穴を利用します。
それぞれの規格の目安の利用期間は、
本葉2.5期まで(播種後:約25日間)
本葉2.0期まで(播種後:約20日間)
128穴のほうが、セルトレイで管理できる期間(老化しない)が長いため、管理が容易となります。
200穴のほうが、面積あたりで管理できる苗の数が多くなるため、コストが下がります。
コスト重視の200穴、栽培の安定重視の128穴となります。
288穴
448穴
200穴よりもさらに、穴数が増え、1穴あたりの培土量が減るため、よりトレイで管理できる期間が短くなります。
そのため、288、448穴は均一な発芽をさせて、その後はすぐ移植というパターンや、輸送する事が前提になっている育苗で、輸送のコストを減らすために利用されるケースが多いです。
72穴
穴が大きいため、より長い期間トレイでの育苗が可能となります。
そのため、ポリポットへ移植しないで、本葉5枚程度のセルトレイ苗を、直接定植する場合によく利用されます。
適期に移植する
元肥を含んでいる播種用培土を利用している場合、葉の色が薄くなるようでは、あきらかに移植が遅いです。
移植作業がスムーズに行える根鉢の状態になったら、なるべく早く移植する事が大事です。
移植後のポット育苗をする環境が整ってさえいれば、早すぎる移植が生育のマイナスになる事はありません。
移植が遅れると、肥料等が不足する事に加え、近くの苗とスペースが少なくなり、徒長にもつながります。
早く根鉢を形成し、老化する前に移植する
セルトレイを利用するトマトの育苗は、いかに早く移植時に崩れない根鉢を作って、老化しない前に移植を行うかが重要です。
早く根鉢を作るためには、全ての根を培土の中で伸長させる事が大切で、トレイの設置の方法が大きく関係します。
エアプルーニングの方法を利用する
根は空気上に張る事はできません。
培地か水が必要です。
そのため、セルトレイの下の排水穴を資材でふさがずに、空気と触れている状態にする方法です。
鉄の網の資材(エキスパンドメタル)などを、トレイを置く台として利用される事が多いです。
防根透水シートを利用する
防根透水シートは水は通すけど、根は通さない資材です。
この資材を、セルトレイとアンダートレイの間に設置する事で、下の排水穴が空気に触れていなくても、培地の中で根が伸長し、根鉢生成が促されます。
均一な灌水管理で均一な苗づくり
1株あたりの培土の量は、移植までの必要最低減となっているため、多くないため、
灌水のむらができると、各穴での生育に差が生じやすいです。
そのため、均一な灌水管理は非常に重要なものとなります。
実際の灌水作業に気をつけて行うのは、もちろんですが、トレイをいかに平らに設置するかも重要です。
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
happy tomating!!