トマトの「へた」から分かる事【単なるおまけじゃありません】

質問する人
何度か東南アジアに旅行したことがあります。
野菜の売り場で、「トマトってどんな感じで売っているのかなー?」って、見たりするんですけど、へたが付いていないで販売されている事がほとんどです。
日本のトマトは、へたがついて販売されているのが、当たりまえだけど、場所によっては変わるものですね。
ていうか、トマトのへたって何や役にたっているんですか?

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。

 

僕もトマト留学で南米に居たときや、海外で仕事していた時に、「トマトにへたがなーい」と感じていました。

 

トマトのへたには、真っ赤な果実に緑色を添える、デザイン的にも重要ですが、注意して観察する事で、栽培の面などでも生かす事が出来ます。

 

今回は、トマトの「へた」についての情報を紹介します。

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トマトの「へた」でわかる果実の中身

トマトの「へた」でわかる果実の中身

当たり前ですが、へたは、葉や茎にはつきません。

トマトのへたは、果実についています。

そして、果実によってへたの形は変わります。

そのへたを見る事で、ついている果実の中の状態を想像する事ができるんです。

 

「へた」の数は、果実の中の部屋の数とリンクする

何個かのトマトの「へた」を注意深く見てみてください。

へたの葉っぱみたいなものの、数が果実によって違います。

 

5〜8枚の間のものが多いと思います。

そして、その枚数が多いほど、大きい果実になっているのではないでしょうか?

 

トマトの果実を、赤道部で切断すると、ゼリー部を持った部屋が何個かに分かれていると思います。

 

トマトのへたの枚数が多いほど、この果実の中の部屋の数が多く、部屋の数が多いほど、果実は大きくなりやすいのです。

 

トマトの「へた情報」の生かし方

トマトの「へた情報」の生かし方

へたの数を見る事で、その果実の中の部屋の数を想像する事ができると、どのようにトマト栽培などに、生かせるのでしょうか?

 

摘果する果実選びに役立てる

 

大玉トマトの栽培では、各花房の花が開花後2〜3週間に、1花房あたり、3〜4果に果実の数を制限することで、草勢の維持を行う摘果の作業があります。

 

いつの花房の中で、どの果実を取り除くかを選ぶ時に、障害があったり、あきらかに形が悪ければ、迷う事はないと思いますが、ぱっと見ただけでは、同じような果実で揃って選べない場合があると思います。

 

そのような時は、へたの枚数を基準にすると良いです。

花が開花する頃には、その果実のへたの枚数が決まっており、摘果作業を行う時は、へたの枚数を確認する事ができます。

 

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6〜8枚のへたがオススメです。

9枚以上になると、果実の形が乱れる乱形果の発生しやすいため、避けた方が良く、5枚以下は小さい果実になる事が多いです。

 

 

トマトを買うときの「美味しいトマト選び」に役立てる

スーパーなどで、トマトを購入する時の、美味しいトマト選びには、いくつかの方法が紹介されていますが、へたの枚数の数に注意しすると、良い品質のトマトを選ぶ事ができます。

 

例えば、

同じ大きさのトマトが2個あり、どちらが良いかと迷います。

A→200g、へたの枚数6枚

B→200g、へたの枚数8枚

 

この場合は、Bのトマトを選ぶ事をオススメします。

 

同じ大きさで、へたの枚数が多いということは、果実の中の部屋の数が多い可能性があります。

部屋の数が多いと、果実の中の細胞の数が多いです。

 

細胞の数が多いほど、果実が大きくなりやすいのですが、例にあげたように、たとえば、大きさは同じだけど、細胞の数が違う場合は、その数が多いもののほうが、果実の充実が良く、品質の高い場合が多いのです。

 

トマトの「へた」の大事な働き

トマトの「へた」の大事な働き

これまで、説明したように普段は何気にみている「へた」も、注意して見るといろんな、情報を得る事ができます。

ここでは、豆知識的な話となりますが、地味だけと大事なへたの働きについて、紹介します。

「あぁ、そんなんだー」くらいで読んでみてください。

 

「へた」は果実へ養分を運ぶ「きっかけ」作っている

 

大玉トマトの尻腐れ果は、ゴルフボール大の頃から、急に発生が増えます。この理由には「へた」の働きが関係しているのでは?と考えています。

 

尻腐れ果については、こちらの記事も参考にしてください。

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なぜ、トマトの果実が黒くなるの?

 

葉は、蒸散する事で根からの水分を、下から上の場所まで動かします。

果実は表面が「クチクラ層」のため、空気や水分の出入りができません。

ですので、果実が蒸散して根からの水分を移動させる事ができないのです。

果実とセットで働く「へた」は蒸散する器官であり、へたでの蒸散をきっかけに果実内に水分と、カルシウムが吸収されます。

 

 

へたは果実が、ゴルフボール大の大きさになるころに、ほぼ大きさが決まり、それ以降は、収穫期まで大きさはほぼ変わりません。

 

 

一方果実は、ゴルフボール大の頃以降も、白熟期(果実のつやがなくなり、着色する前の段階)を迎えるまでは肥大します。

 

果実がゴルフボール大の頃以降は、果実へのカルシウム吸収のきっかけになる、「へた」あたり(1個のへたに対して)の、果実の量が増えるのです。

特にゴルフボール大の頃からは、へたの蒸散の働きによる、果実への水分、カルシウムの供給量が減るということが考えられます。

 

大玉トマトの、着果直後の果実では、尻腐れ果の発生が少なく、ゴルフボール大以降で、発生が多くなる特徴はこの「へた」の蒸散の働きか関係しているように思います。

 

 

たかが「へた」と考えてしまうかもしれませんが、その働きは重要なのです。

 

 

以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

とまと家・中島がお届けしました。

 

この先も、本読んで勉強します(この本がオススメ)。

トマト オランダの多収技術と理論―100トンどりの秘密

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