トマトの接ぎ木に挑戦【家庭でできる方法を紹介】

質問する人
トマトの接ぎ木苗を、使っている農家さんから、「後半の生育が良く、全体の収量がけっこう上がるよ」という話を聞きました。
販売されている接ぎ木苗の値段を見ると、けっこう高くて使用するのを諦めました。
技術は必要と思うのですが、トマトの接ぎきって自分でもできますか?
もし、良い方法があれば教えてほしいです。

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。

 

僕も接ぎ木の栽培にチャレンジしたいと思い、自分で接ぎ木を行いました。

作業後の養生の管理も、接ぎ木作業には大切ですが、自分のみの周りのもので工夫して環境を準備して、栽培に使用できる接ぎ木苗を生産できました。

 

今回は、特別な施設がなくてもできる、接ぎ木苗の生産方法を紹介します。

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トマトの接ぎ木って何?

トマトの接ぎ木って何?

トマトを対象にしたもの以外にも「接ぎ木」の技術は、いろいろな場面で利用されています。

リンゴなどの果樹や、きゅうりなどの野菜でも多く利用されています。

この項ではトマト以外の利用を含め、接ぎ木について解説します。

 

「接ぎ木」を人間の世界で例えると?

極端な説明をすると、

とっても足の速い、ホームランバッターを作るというイメージです。

 

そのために、

下半身は、

100mの短距離走の選手のものを

上半身は、

ホームランバッターのもを

 

というように、上半身、下半身、それぞれの場所で、良いパフォーマンスを発揮するものを合わせて、一人のプレーヤーを作ります。

 

植物の世界では、

下半身が「根」
上半身が「茎、葉、果実」

となるイメージです。

 

「接ぎ木」は「木」だけではなく「草」も接ぎます

まず「接ぎ木」の名前には「木」と表現されていますが、野菜のように、茎の組織が「草」のものにも利用されます。

 

「穂木」と「台木」を接ぎます。

接ぎ木を行うために必要なものは「穂木」と「台木」です。

 

接ぎ木を行う事により、台木用品種の根(地下部)と、穂木用品種の果実特性(地上部)の両方の特徴を引き出せる栽培が可能となります。

穂木と台木の茎を切断して、接ぎ木を行います。

 

それぞれの茎の断面では、細胞がくっつき、維管束(導管と師管)も働く事ができるので、台木の根から吸収した水分や養分を、穂木に送る事ができます。

そのため、1度それぞれの茎が、完全に切断されても、その後の生育を続ける事ができます。

 

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トマトの栽培で接ぎ木を行うメリット

トマトの栽培で接ぎ木を行うメリット

接ぎ木栽培を行う場合、1株を栽培するために、穂木と台木の2株を用意する必要があります。

さらに、それぞれを「接ぐ」作業も必要となると、通常の自根の栽培よりもコストも手間ひまもかかります。

それでも行うには、それそうとうのメリットがあるからです。

 

品種改良よりも大きな栽培のメリットが得られる

台木が持つ根の特性と、穂木が持つ茎葉や果実の特性を、品種改良の技術を使って1つ品種に持たせれば、「いろいろ都合が良いよなー」とも思えます。

ただ、そんなに簡単に進まないのが、育種の世界です。

 

また、接ぎ木を行わなくても、目標とする成績のトマトの栽培ができる環境を持つ農家さんもいます。

 

コストと手間ひまかけてでも、接ぎ木栽培を行いたい、または行わないといけない生産者は限られます。

 

そう考えると、根、茎葉、果実のバランスの良い品種を育成する方針が主となるのも納得できます。

 

トマトの接ぎ木の場合、台木に求められる特性は、根に関係する事に限られるため、台木を別の枠で育成して、必要に応じてオプション的に使ってもううほうが、台木の育成も特定の特性に的を絞って仕事できるため、育種の面でも都合が良いと考えられます。

 

栽培面での接ぎ木栽培の主なメリット

 

  • 土壌病害へ対応できる
  • 低温期の栽培が安定する
  • 長期栽培の後半の時期でも草勢が安定する

 

・土壌病害へ対応できる

穂木品種にはない土壌病害の抵抗性を持つものを、台木品種として選定し、穂木の果実品質を保ちながら土壌病害に対応できます。

 

台木の品種には、ある特定の土壌病害へ対応する事に特化されたものがあります。

畑の状況に合わせて台木を選び、接ぎ木する事で穂木の特性では土壌病害の害をうける場合でも安定して栽培を行う事ができます。

 

・低温期の栽培が安定する

低温の条件でも、根の伸長に勢いのある台木品種を選定する事で、低温の時期でも安定して穂木の草勢を維持する事ができます。

 

 

・長期栽培の後半の時期でも草勢が安定する

根の伸長に勢いがある台木品種を選定し、果実のなり疲れなどからくる、栽培後半の草勢低下を防ぎ、収量、品質を維持する事ができる。

また、2本仕立ての栽培でも、根の伸長の良い台木品種を使用される事があり、穂木のみで栽培するよりも収量等の成績が良くなりやすいです。

 

トマトの接ぎ木の種類と方法

トマトの接ぎ木の種類と方法

トマトの接ぎ木には、数種類の方法があり、それぞれに特徴があります。

また、使用する台木の特性を知る事も、接ぎ木を成功させるために重要になります。

 

 

台木の選び方

台木用の品種も数多く育成されております。

種苗メーカーのカタログや、サイトを見ると詳しく解説されていますので、じっくり時間をかけて特性を把握してください。

 

選ぶポイントは主に、

  • 適応する土壌病害
  • 根の低温伸長性
  • 栽培後半の根の動き

と、なると思います。

 

栽培面の特性以外にも、発芽や発芽後の生育速度が、穂木品種と大きく変わるものもあり、台木品種の播種日の設定の目安も解説されていますので、そちらもチェックが必要です。

 

穂木と同時にまくか、台木を穂木より1〜2日早くまくように推奨されているものがほとんどです。

 

また、台木の茎が赤くならず、穂木との区別が容易にある特性を持つ、台木品種もあります。

 

接ぎ木の種類(モダンな方法を紹介)

最近のトマトの接ぎ木の方法は、セルトレイで育苗された、本葉2枚前後の時期に行われる「幼苗接ぎ木」が主流です。

 

幼苗接ぎ木ではない、主な方法には、

  • 呼び接ぎ
  • 割り接ぎ

があります。

 

特に、呼び接ぎは、接ぎ木作業後の活着率(成功率)が良いですが、本葉が4〜5枚の時に行うが基本の方法となり、作業を行う苗のステージにするまでに時間がかかります。

 

また、最低でも72穴以上の大きさのセルトレイか、ポリポットへ移植し接ぎ木作業を行う必要がでてきます。

 

時間とスペースが多く必要となり、いくら、活着率が上がりやすい方法でも、場合によっては一部しか利用できない事もあるリスクを考えると、少々接ぎ木作業の技術が必要であっても、幼苗接ぎ木の方法で行うほうが、メリットが多いと考える事もできます。

 

幼苗接ぎの方法でよく知られてい方法には

 

  • ピンを利用する方法
  • 接着剤を利用する方法
  • チューブを利用する方法
  • スーパーウィズを利用する方法

 

・ピンを利用する方法

・穂木と台木の固定に、セラミック質のピンを利用する方法
・シャープペンの芯を固定の材料として、使用を試した事がこの技術の開発のきっかけとなっている
・早い接ぎ木作業が可能で、活着後の資材の除去作業もない
・接ぎ木作業時に、台木と穂木の茎の太さが揃っていないと、活着率が落ちやすい

 

・接着剤を利用する方法

・穂木と台木を、接ぎ木用の接着剤で固めて、固定する方法
・ピン接ぎ以上に、早い速度の作業が可能となる
・作業後の接ぎ木資材の除去作業がない事も特徴である
・ピン接ぎ同様に接ぎ木作業時に、台木と穂木の茎の直系が揃っていないと、活着率が落ちやすい

 

・チューブを利用する方法
・スーパーウィズを利用する方法

・ピン接ぎ、接着剤を利用する方法は、穂木、台木を水平に切断するのに対し、この2つの方法は、斜めに切断する
・この事で、それぞれの設置面積が多くなり、活着率の向上につながる
・チューブよりも、スーパーウィズの方が、穂木台木の資材への差し込み後の固定がしやすく、資材が透明で切断面の状況を確認しながら、差し込みできるため作業が行いやすい
・接ぎ木苗を販売する苗の業者も、このスーパーウィズを用いた接ぎ木方法を行う場合が多い

 

家庭でできるトマトの接ぎ木の方法

家庭でできるトマトの接ぎ木の方法

接ぎ木の作業には、技術も必要ですし、作業後の養生の管理には、遮光や湿度を保つことのできる施設が必要となります。

そのため、個人の農家さんや、家庭菜園でトマトを栽培する方が、接ぎ木を行う機会が少ないと思います。

 

それでも、接ぎ木苗を購入すると、コストがかかる事や、事前の注文が必要となり、小回りの効く栽培計画を立てずらくなります。

 

ここでは、自分で接ぎ木を行いたい方へ、家庭で行える方法を紹介します。

 

スーパーウィズを使い、お風呂で養生する方法がオススメ

自分でトマトの接ぎ木を行う場合は、スーパーウィズを利用する方法がオススメです。

 

この資材を利用する接ぎ木を、成功させるために大事なポイントは2つです。

  • 適期の時期に接ぎ木作業を行う
  • 接ぎ木作業後に適切な環境を作り、活着を促す

 

適期の時期に接ぎ木作業を行う「適期」の条件は、

・茎の太さが1.8〜2.0mmの時に行う
・穂木と台木の茎の太さが合っている

事となります。

 

適期の太さの時に、接ぎ木を行うには、日々の観察が最も重要です。

本葉が2枚程度になると、天気次第では1日の生育も大きく進み、予想以上に茎が太くなる場合もよくあります。

 

実際に茎を切って、太さと確かめるほうが確実です。

 

穂木用品種と、台木用品種を同時にまくと、台木のほうが、細くなる事が多いので、心配であれば2日台木を早くまくと良いです。

穂木 > 台木 よりも

穂木 < 台木 のほうが、作業は行いやすいです。

 

 

接ぎ木作業後に適切な環境を作り、活着を促すには

 

接ぎ木の作業を行う時は、穂木、台木の茎をそれぞれ切断します。

台木は根から水分を吸収できますが、穂木がしおれやすい状態になります。

 

作業後は、穂木の萎れが弱くなるための環境を作ることで、その後の活着が良くなります。

 

活着後の理想の環境は、

  • 太陽光を当てない
  • 湿度は100%に近いほど良い
  • 温度は25〜30℃

です。

 

専用の施設がなければ、このような環境をつくる事が難しいですが、家庭でその方法を作るのが難しいですが、

 

オススメの方法は、接ぎ木の作業後はお風呂場で苗を管理する方法です。

 

窓がある場合は、なるべく直接苗に光があたらないようにします。

できれば、浴槽に水を張ったままにして、保温ができるのであれば、40℃程度で保温すれば、浴槽内の温度も良い感じに上がって、湿度も上がりやすい状況になります。

 

その状況で2〜3日間管理して、活着が順調にいくと、穂木の萎れがなくなり、穂木と台木の接合部が膨らんでくるのが確認できるようになります。

 

その後は、朝と夕方の太陽の光が弱い時だけ、苗を外に出し、日中は光の当たらない場所で管理する方法を2日ほど管理して、それ以降は通常の管理を行います。

 

以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

とまと家・中島がお届けしました。

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