なんだか、はっきりしたカビ胞子がくっついていますね。
自分なりに調べて、「灰色かび病」ではないかなと予想しています。
近所のトマト農家さんに、質問したところ、「それは、はいかびだ、はいかびだ」という答えでした。
おそらく、灰色かび病を略して、はいかびと読んでいたと思うのですが、はいかびって何だか、葉カビと呼び方がまぎらわしいですね。
灰色かび病は、トマトの病害の中で、発生しやすいものと解説しているサイト等も多いですよね。
灰色かび病について知りたいです。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、17年間トマト栽培を行っております。
国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市を拠点にトマト農家をしています。
このブログでは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等と紹介しています。
確かに、トマトの農家さんは、灰色かび病の事を、灰かびと略して呼ぶ事が多いです。
注意して聞かないと、葉かび病と混同しやすいですね。
これは、トマトあるあるのひとつですね。
灰色かび病は、トマト栽培の中で発生しやすい病害です。
小さい果実や、へたに胞子が発生する症状は発見しやすいのですが、
「ゴーストスポット」と呼ばれる、果実へのリング状の病斑がつく発生パターンもあります。
胞子ではっきり発生するパターンは、比較的防除しやすいですが、
ゴーストスポットの発生は、防除が困難で、商品価値も落としてしまいます。
気を抜かず、予防も含めてしっかし防除を意識しましょう。
今回は、トマトの灰色かび病について解説します。
家庭菜園でトマトの栽培がしたいけど、畑が準備できない方は、レンタル式シェア農園の利用がオススメです(手ぶらで行けて栽培サポート付きです)。
トマト灰色かび病の特徴
果実や、へたに胞子がつく発生パターンは、判定しやすいですが、
果実にリング状の病斑がつくパターンは、スリップスによる、吸引跡に似た症状となります。
しっかり見分ける事が重要です。
発病時の特徴
トマトの栽培の中で、特に問題となる灰色かび病の症状は、2つあります。
- その①:かび胞子の発生
- その②:ゴーストスポットの発生
その①:かび胞子の発生
果実や茎の一部に白色〜灰色のかびの胞子が発生し、被害の場所が茶色く腐るようになります。
その②:ゴーストスポットの発生
ゴーストスポットの特徴は、
- ミニトマト、大玉トマトなど品種を問わずに、果実に発生
- 2、3mmの直径で白いリングが、1果実あたり、1個から数十個発生
となります。
発生した果実は、外見の品質が悪くなり、B品または規格外の等級となる事が多いです。
発生しやすい条件
20℃程度の比較的低い温度で、湿度が高い状態で発生やすくなります。
- 梅雨の時期
- 雨天曇天が長期間続くとき
- ハウス保温のために換気を閉めて管理する時期に
で発生しやすいです。
ハウス内とハウス外の温度差により、果実や茎が結露し水滴が、各器官につく状態でも発生しやすくなります。
スリップスの食害との見分け方
ゴーストスポットの症状は、スリップス(害虫)による吸引跡の症状に、よく似ています。
白いリング状の病斑の発生が、灰色かび病の特徴
白っぽく水ぶくれ状になるのが、スリップス害の特徴
どちらの症状なのかによって対策(特に薬剤散布)が大きく変わります。
正確な判定を行いましょう。
トマト灰色かび病の対策方法
特にゴーストスポットの対策が重要です。
一度発生し始めると、栽培全体に広がり防除も困難になります。
薬剤散布による積極的な予防が効果を発揮します。
対策その①:病気がかかった果実を取り除く
灰色かび病の症状が発生している、果実を発見した場合は、すぐに取り除きます。
使い捨ての手袋等を着用し、作業による伝染のないように気をつけます。
対策その②:果実につく花びらを取り除く
開花後の花びらのカスをきっかけに、灰色かび病が発生する事が多いです(花びらは水分を吸収しやすく、活性がないためです)。
特に、ホルモン処理にて着果した果実は、花かすが自然に果実から落ちにくいので、注意が必要です。
気になる場合は、ホルモン処理に使用するトマトトーン液に、専用の花かす落下促進剤の利用します。
ホルモン処理の方法については、こちらの記事を参考にしてください。
トマトの果実の付きを良くするために、「トマトトーンを使うと良いよ」と、知り合いのトマト農家さんから勧められました。ホームセンター等で、よく商品を見かけますが、どのように使うものなのかイメージがわきません。使い[…]
対策その③:ペースト状の殺菌剤の利用
灰色かび病は、茎の一部や、果実の付け根など、ピンポイント的に、発生する場合もあります。
発生確認後に、施設全体の薬散などの防除を行う事が良いのですが、
難しい場合はペースト状の殺菌剤を塗布して対応します。
対策その④:殺菌剤の利用
発生を確認した後は、すぐに薬散を行いましょう。
灰色かび病の場合は、ゴーストスポットの発生の被害が大きいため、
他の茎葉病害以上に、定期的な予防の薬散管理の実施が重要です。
灰色かび病の治療に効果のあるオススメの薬剤2種を紹介します。
カンタスドライフロアブル
灰色かび病の特効薬的薬剤で散布後の効果も長く、予防の散布にも向きます。
- 対象作物 トマト、ミニトマト
- 適用病害虫 灰色かび病、葉かび病、菌核病
- 希釈倍率 1,000〜1,500倍
- 使用方法 散布
- 使用時期 収穫前日まで
- 本剤の使用回数 3回
- 散布液量 100〜300L/10a
- ボスカリド(この薬の有効成分)を含む農薬の総使用回数 3回以内
アフェットフロアブル
多くの病害に対応できる薬剤です。
特に発病前の予防的散布に向き、ゴーストスポット対策の予防防除にオススメです。
- 対象作物 トマト、ミニトマト
- 適用病害虫 灰色かび病、葉かび病、うどんこ病、菌核病、すすかび病
- 希釈倍率 2,000倍(うどんこ病2,000〜4,000倍)
- 使用方法 散布
- 使用時期 収穫前日まで
- 本剤の使用回数 3回
- 散布液量 100〜300L/10a
- ペンチオピラド(この薬の有効成分)を含む農薬の総使用回数 3回以内
*使用方法等は、変更になる場合があります。使用の前にメーカーHP等をご確認ください。
これまでトマトの灰色かび病について、解説しました。
らでぃっしゅぼーや(定期宅配コース)
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy Tomating!!