これってどういう理由があるんですか?
花が咲いていない時って、植えない方が良いですか?
あと、植え付けをする時に、気をつけたほうが良い点があれば、そちらについても知りたいです。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
僕も、トマトの植え付けを行う時は、苗の花が開花するのを待ってから行う事がほとんどです。
今回は、開花苗を植え付ける理由と、植え付け作業の要点についてを紹介します。
トマトの植え付けの時期の決め方
この記事は家庭菜園で、トマトの栽培を行う方へ書いています。
ほとんどの方が、ハウスや温室は利用せずに、露地での栽培となると思います。
その際に、どのように植え付けの時期を、設定すれば良いのでしょう?
植え付け時の時期の設定で、一番大事な事は定植後の霜を避けること
トマトの生育適温よりも、低い気温の中で栽培しても、生育が停滞するだけですが、露地栽培の場合、霜の害を受けると枯死します。
霜の強さによって、被害の程度は変わりますが、植え替えが必要な時もあります。
トマトの栽培を行える時期の設定には、霜の害を受けない時期を大前提にする必要があります。
露地トマトの植え付けは、桜が咲いてから
露地でトマトの栽培を開始できる時期は、栽培場所が北海道なのか、九州地方なのかで大きく変わります。
そこで基準になるのが、気温です。
夜間の最低気温が、10℃を下回らなくなる頃を、栽培を開始できる時期の目安にすると良いでしょう。
霜の害を確実に回避する事と、植え付け後の生育を安定させるためにつながります。
苗の植え付けの時期については、こちらの記事も参考にしてください。
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トマトの植え付けに使う苗の状態
家庭菜園のトマト栽培の場合、ホームセンターや、ネット販売にて苗を購入する事が多いと思います。
一口に「苗」といっても様々な大きさのものがあり、種まきから経過している日数が変わります。
植え付けに向く、苗の大きさなどの状態とは、どのようなものでしょう?
1番花・開花苗が基本
トマトの植え付けの方法は、多くのサイトで紹介されており、「1番花が開花した時」が、定植の目安の時期と解説されている事が多いです。
このように、1番花・開花苗が目安の基準となります。
では、なぜ、最初の花が咲いたときが、植え付けに向くのでしょうか?
開花苗を植えるのは、定植後の、果実の生育を良くするため
植え付けが行われるまでの苗は、ポットで管理されています。
ポットの中の土の量が決まっていて、その量に応じた範囲しか、トマトの根は伸びる事ができません。
植え付けを行って畑に苗を植えると、根の張れる範囲は大きく広がります。
広がるというより、ほぼ無限の範囲で伸びる事ができます。
根が張る事の範囲が増えると、地上部の生育も良くなります。
その時に、果実の素となる花が咲いていないと、「茎と葉」の生育が良くなりすぎてしまします。
「茎と葉」の生育が良すぎると、茎葉と果実の、株全体のバランスが悪くなり、一番重要な果実の生育が悪くなりやすい状態となってしまします。
その状態を防ぐために、開花している苗を、畑に植え付けます。
開花している花は、その後、結実して果実となります。
根が張る範囲が広くなる時に、茎葉だけでなく、果実も生育が良くなる対象にする事で、「茎葉」と「果実」それぞれがバランス良く生育する環境を作る事ができます。
人間の世界で例えると、
自分の子供に現金100万円を渡す事になったとします。
子供が高校生の時に渡すのでなく、その子供が結婚して、子供も出来たときに、100万円渡す。
というようなやり方に似ています。
たぶん。
トマトの1番花開花は、子供が結婚した時にあたり、
その花が結実して肥大を始めた時が、子供ができた時期にあたるようにイメージしています。
子供が高校生の時に100万円もらうと、自分のためだけにお金を使う可能性は高いです。
でも、自分に家族、子供がいるときに、100万円もらうと、自分だけでなく、家族のためにそのお金を使いますよね。
家族がいるのに、自分だけのために100万円使わないですよね。
そして、家族全体でバランスの良い、お金の使い方になりますよね。
という方法に似ています。
植え付けに使用する苗については、こちらの記事も参考にしてください。
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時には、若苗や老化苗も意識的に植えます
1番花・開花苗は、苗の植え付けのタイミングの基本の時期です。
場合によっては、あえれ開花の時期ではないタイミングにする事もあります。
若苗を植える場合
開花苗に比べると、その前の時期は、より苗に勢いがあります。
真夏の時期などに植え付けを行う場合は、元気のある苗を植えた方が、その後の厳しい環境でも生育が安定しやすいため、あえて開花前の若い苗を使用します。
2段目開花苗を植える場合
意識的に植え付け後のトマトの生育を、抑えたい時にこの方法を使います。
例えば、畑に必要以上に堆肥や肥料が含まれている場合や、ミニトマトなど定植後初期に果実の数が少なく、茎葉の過剰な生育へのブレーキを意識的にかけたい場合などです。
トマトの植え付けの方法
植え付けを行える時期を迎え、苗の準備が整ったらいよいよ、植え付けの作業です。
植え付けの作業で大事なポイントは、定植後、いかに早く活着させる事ができかです。
露地でトマトを栽培する場合は、栽培できる限られた期間を生かすために、春先の時期に植え付けを行う場合が多いと思います。
まだ、外気温が低い環境となる春先に、注意すべき点も含めて植え付けの方法を解説します。
植え付けは天気の良い午前中が理想
植え付けを行った後は、苗の周りにたっぷりと灌水する事が、その後の生育を順調に進めるコツとなります。
ただ、灌水は地温を下げる管理となり、特に春の時期は、その影響を受けやすいです。
そこで大事になるのが、植え付けを行う日の天候と、時間帯です。
植え付けを行って、その後灌水して、地温が下がる夜を迎える前に、なるべく高い地温にするためには、天候の良い日の早い時間に、植え付けとその後の灌水を行う事が大事です。
深植えよりも、浅植えが良い
浅植えが良い理由は、苗の根が地温の高い場所に置かれるためです。
地温が高い環境の方が、根の動きが良くなり生育もスムーズになります。
地面の掘って、浅い場所と、深い場所だと地表に近い所の方が、太陽の熱が地面に伝わりやすく、地温が高い状態になりやすいです。
植え付け後に、ポットの土が乾かないようにと、深めに植える方もいますが、特に早い時期の場合は浅植えが良いでしょう。
深さの目安は、ポットの床面が、畑地表より1cm程度出る状況を目指しましょう。
1段目の花房は通路へ向ける
基本的に、トマトの各段の花房の向きは、1段目が向いた方向と同じになります。
花房が、管理にする時に使用する通路の方を向いていると、管理が行いやすく作業の効率も大きく変わります。
場合によっては、2段目以降の花房の向きが、1段目の花房の向きと違うようになる事もあります。
1段目の花房までの葉の数が、6枚になった時です。
7枚以上だと、1〜2段目花房の枚数が3枚となりますが、6枚だと4枚となることが多く、1段目との方向が変わります。
植え付けを行う時は、1段目の花房までの葉の枚数を確認し、7枚以上であれば花房を管理する通路に向け、6枚の時は、反対側に花房が向くのを防ぐために、3枚目の本葉をかわり通路にむくようにします。
着果促進の処理もお忘れなく
前の段落では、開花している状態が、植える苗の基本のタイミングになると説明しました。
詳しく説明すると、開花しているのは確認の目安であって、その後、果実が着果して株に着果負担がかかる事が大事です。
低温期の植え付けだと、着果も不安定になりやすいため、促進する管理を行う方が良いです。
オススメは、トマトトーンでホルモン処理を行う方法ですが、花房に振動を与えるなど、やりやすい方法で行うだけでも効果が出やすいです。
着果促進の管理については、こちらの記事も参考にしてください。
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以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。