ホームセンターで苗を購入して、畑に植える予定だけど、いつの時期から栽培を開始できるのかな?
また、プロのトマト農家さんが、どのような時期にトマトを栽培しているのかも知りたいな。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
北海道の夏場の栽培を中心に、ハウスとボイラーを使用する冬の時期の栽培の経験もあります。
トマト栽培(苗の植え付け)の可能な時期の調べ方【全国版】
春の時期になると、ホームセンターなどに家庭菜園向けの野菜の苗が並びます。
トマトの苗が販売されていても、被覆資材等を使って保温をしないと、順調なトマトの生育が難しくなる時期もあります。
どのような事を条件にトマト栽培を開始する判断をすべきか解説します。
注)この記事では、苗の定植からの栽培管理の時期について開設します。
種まきが関係する育苗の時期は別の記事を参考にしてください。
トマトが栽培可能となる条件とは?
最低気温が8℃以上となる時期であればトマト栽培は可能
トマトが栽培できるかどうかは、トマトが生育できる温度の条件であるかどうかが重要です。
この基準は、トマトの植物としての生理生態の特徴が関係し、トマトが生まれ持った特徴と捉えると納得しやすいかなと思います。
温度で解説すると基準は数字となり、8℃はOKだけど、7℃だとどうなの?という疑問も浮かぶと思います。
答えは7℃でも大丈夫です。
さらにいうと、6℃でも5℃でもOKです。
ただし、霜が降りない事と、5日程度以上5〜7℃の最低気温の条件が続かない事が条件です。
気温の条件よりも霜が降りるかどうかのほうが重要な場合もある
上の項で、6℃でも5℃でもOKと書きましたが、
霜にあたると多くの場合枯死します(霜の強弱にもよりますが)。
生育の停滞よりも、トマトの枯死の方が被害が大きいです。
霜の発生は4℃を下回る気温条件で多くなると言われています。
8℃で霜が発生する事はないです。
トマトの栽培可能な条件を最低気温8℃と解説してい理由は、最低気温と霜の発生も関係するためです。
低温条件に遭遇すると、どうなるのか?
8℃未満の最低気温の条件が続くと、トマトは枯死しなくても生育が停滞し、果実の肥大等も悪くなる事があります。
1日でも最低気温が8℃未満の日があると、生育が悪くなるわけではなく、5日以上など、ある一定の期間以上続いた場合に、生育停滞の症状が起こりやすくなります。
温度が低く、低温下におかれる期間が長いほどトマトへの影響は強くなります。
トマト栽培の可能な時期【家庭菜園での露地栽培の場合】
多くの場合、家庭菜園でトマトを栽培する時は露地の栽培になると思います。
簡易なトンネルや被覆、風よけによる低温の対策をする場合でも、温度の条件は、ほぼ外気温と同じです。
ですので、天気予報で提供される温度の情報を参考にできますが、
日本全国、地域を問わず露地トマトの植え付け可能な時期の目安を作る方法を紹介します。
トマトの露地栽培が可能なシーズンは、桜の開花と共にやってくる
気象庁のサイトでは、全国の気象観測ポイントの気象の情報を、年、月、日などの条件で詳しく調べる事ができます。
みなさんが栽培を予定している地域も、近くの観測ポイントの情報を参考にして調べる事ができると思いますが、大まかなトマト栽培時期の基準として、桜(ソメイヨシノ)の開花時期を基準に各地域の露地トマトの栽培可能時期の目安を作りの方法を紹介します。
毎年の桜の開花時期の1ヶ月後を、露地でのトマトの苗の植え付けができる時期とする方法です。
僕の住んでいる札幌市の場合、毎年の桜(ソメイヨシノ)の開花は5月5日前後です。
この条件の場合、トマトの露地栽培での苗の植え付けの目安の時期は6月5日以降となります。
5月下旬の時期でも、外気温と霜の発生の条件はクリアできますが、6月以降に苗を植えた方がを栽培が安定しやすです。
桜はその地域の気象によって開花の時期が変わります。それをもとに各地の最低気温が8℃を下回る日が少なくなる時期の目安を作っています。
気象条件をもとに、植え付け可能な時期を調べるのが面倒な方は、上の基準で試してみてはどうでしょう。
トマト栽培時期と栽培作型の関係【農家さん向けに解説】
トマト農家さんがトマトの栽培を行う時は、栽培が可能な時期という概念はありません。
ハウスと加温の設備を使用すれば、最低気温8℃以上の条件を保つことができて、年中を通してトマトの栽培は可能だからです。
しかし、どの時期に栽培するかによって、生育期間や、適する品種に違いが出ます。
このような違いに対応するために、作型を決め栽培時期の分類を行っています。
作型ってどんなもの?
トマト栽培の作型は、大きく3つに分ける事ができます。
それぞれの特徴が以下のとおりです。
春に種をまき、夏から秋にかけ収穫する
■抑制(よくせい)
夏に種をまき、秋から冬にかけ収穫する
■促成(そくせい)
秋・冬に種をまき、冬から夏まで収穫する
他には、「夏秋栽培」、「抑制栽培」、「促成栽培」というように使われる場合もあります。
トマトの栽培作型名と時期の関係
地域や、産地、部会などで多くの作型の基準がありますが、日本のトマト栽培の作型の分け方をイメージがしやすいように作成しています。
時期の分け方が、少々大きい範囲となっていますのでご了承ください。
さきほど解説した、3つの基本の作型に加えて「半促成」の作型も加えて解説しています。
冬の季節となる促成栽培は、生育のスピードが夏季よりも遅くなり、果実の開花から収穫までの日数も多く必要となます。
促成の作型一つのみにすると、カバーする範囲が広くなるため、「半促成」も加えて表を作成しています。
各作型には特徴があります。
夏場の収穫期間が多くなる作型は気温が高く、日照時間も長いし、日射量も多く、トマトの栽培には有利です(高温の条件が生育に悪影響となる場合もありますが)。
逆に冬場の収穫期間が多くなる作型は、気温、日照時間、日照量も夏場に比べると、トマト栽培には不利ですし、加温無しではトマトを栽培する事が難しいです。
そして、加温には燃料代がかかり、保温の効率を高める被覆資材にもコストがかかります。
そんな、不利とされる条件でも農家さんが栽培するのは、全国的にトマトの生産量が減り、高い価格で出荷できるためです。
気象の条件で考えると、冬場の栽培は南日本が有利となり、実際に冬に生産される国内一のトマト産地は熊本県です。