家庭菜園でトマトを栽培したいと思っています。
苗を購入するために、ホームセンターに行くといろんな種類があります。
家庭菜園に向くトマトの品種と、同じ種類でも、たくさんの苗から良いものを選ぶポイントを、教えてほしいです。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市でトマト農家をしています。
このブログでは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等と紹介しています。
トマトの苗選びはとても大事です。
大玉、中玉、ミニトマトのうち、どの品種を選ぶのかで、栽培の難易度は大きく変わります。
また、
トマト苗を購入する際の、苗の状態も重要です。
植え付けを行う時の苗の状況で、その後の生育の良し悪しが大きく変わるからです。
今回は、トマト苗の選び方のコツを、家庭菜園で栽培する方向けに解説します。
ホームセンター等で、購入する苗を選ぶ際などにお役立てください。
家庭菜園でトマトの栽培がしたいけど、畑が準備できない方は、レンタル式シェア農園の利用がオススメです(手ぶらで行けて栽培サポート付きです)。
トマト苗の選び方【品種の特徴と栽培難易度】
トマトの栽培には、プロの農家さんが行うように、種まきをして、一から苗の準備をする方法もありますが、技術や専用の施設が必要です。
家庭菜園では、苗を購入して、定植からスタートする方法が一般的で、より容易に確実に栽培を行えます。
トマト品種の種類と栽培難易度
トマトの苗を購入する際は、まず、どの品種にするかを選ぶ必要があります。
家庭菜園のトマト栽培で、対象となる品種の種類は主に4つあり、それぞれで栽培の難易度が変わります。
- 大玉トマト 難易度:難しい
- 中玉トマト 難易度:普通
- ミニトマト 難易度:容易
- 調理用トマト 難易度:普通
トマト栽培を初めて行う方にオススメの種類は、ミニトマトです。
トマト品種による特徴の違いは、こちらの記事も参考にしてください。
トマトの品種選びについて質問する人トマトには数多くの品種があって、どのように選べば良いかわかりません。基本的な品種の種類や、分け方はどのようになっているのですか?また、家庭菜園に向く品種など、いろいろな目的に[…]
トマト苗の選び方【理想の苗姿】
苗の丈が高く、葉が大きいトマトの苗は、一見、元気が良いようにも見えます。
しかし、大きすぎるものは、植え付けをした後に、順調な生育をしない事が多いです。
では、どのような姿をしている苗が理想的か解説しましょう。
長方形型の苗が良い姿
種まきから、苗として販売されるまでには、60日間程度の育苗管理がされます。
その間の温度管理、灌水管理、肥料の管理などにより、苗の姿は変わります。
今回は、3つの苗の姿のタイプに分けて解説します。
長方形型
一番花が開花する時期に苗を遠くから見たときに、全体の幅が、下から上まで同じくらいで生長している良い苗の姿です。
育苗の期間とおして、灌水、肥料の管理のバランスが良く行われており、定植後の管理も行いやすくなります。
三角形型
三角形型の苗は育苗時の灌水不足、肥料切れによる栄養不足の状態となっている場合が多いです。
また、苗の栄養が不足する時は、葉の色が薄く、葉の角度が上に向くようになります。
このような状態の苗を植えると、その後の栽培管理で、苗の勢いを回復させる事が難しい場合もあります。
逆三角形型
育苗期間に、灌水、肥料過多で管理された時に、なりやすい姿です。
灌水、肥料過多で管理された苗は、葉が大きく、色が濃く、葉の内側へのカールが強くなります。
このような状態の苗を植えると、1段目や2段目などの低段の果実が極端の大きくなったり、形が悪くなる事があります。
苗の草丈は30cm以内が理想
葉と葉の間が間延びしていなく、「ガチッ」と「しっかり」している苗が理想です。
理想の苗の草丈は30cm以内ですが、先ほど解説した三角形型の栄養不足で、草丈が低い苗は避けるべきです。
長方形型でかつコンパクトな苗が理想です。
草丈が高い苗は、茎が細く、各葉の間の距離が長く、徒長苗と呼ばれます。
場合によっては、自立する事ができず、支柱等で支えられていいるかもしれません。
徒長している苗は、育苗期間に灌水量が多すぎる、十分なスペースを確保されていない場所で管理されている事や、温度管理が高すぎる事が原因となります。
徒長している苗を植えると、畑に植えてからの根の伸びが悪い事や、1〜3段目の果実の肥大、充実にも影響する事があります。
トマト苗の選び方【理想の花の位置】
外見で苗の質の善し悪しを見分けるには、ある程度の経験が必要です。
それぞれの人の見方で基準が変わる事もあると思います。
この章で紹介するのは、数字を条件にして選ぶ方法ですので、よりはっきりとした基準になります。
1段目の花が7か8枚目上にある苗が理想
苗選びの時に参考にしてほしい条件のひとつに、「花まで葉の枚数」があります。
1段目の花が開花している苗であれば、その時点で、種まきの後60日前後の日数が経過しています。
その期間、苗の栽培管理している生産者が、どのような温度、灌水、肥料の管理がされているかを知ることを、購入する人は知ることはできません。
しかし、花が何枚目の葉の上についているか調べる事で、ある程度の管理の内容を知る事ができます。
1番花が、本葉が7か8枚の上にあるものを選ぶのが良い(子葉は葉の枚数に含めない)
・8枚上に花がつく→8枚目と9枚目の葉の間に花房がつく
注意が必要な条件は、低い位置(6枚上)についているものです。
花のつく場所が決まる条件は、種まきをしてから20日後くらいの時期の管理によります。
その時期に、管理される最低気温が、低いと枚数は少なく、高くなるにつれ葉の枚数が多い場所に花がつきます。
1段目の花が咲く時期の段階で、3段目までの果実の形等がすでに決まっています。
低い温度で管理された苗で、3段目までで生産される果実は形が悪く、奇形果などの発生のリスクが増えます。
苗の葉の枚数が少ない事はその分、光合成する量も減るため、定植後初期の株の勢いをつけることに不利な条件となります。
逆に、9枚以上の苗は、育苗期間の温度管理が高すぎる事や、少ない肥料分で管理されている事が予想できます。
葉の枚数が多い場合は、3段目までの花房で花数が少なく、果実の充実が悪くなることや、収穫開始の時期が遅くなるなどにつながる事があります。
トマト苗の選び方【理想の苗のステージ】
上記で解説した、良い条件が揃っている苗を見つける事ができても、自分の苗を植えるスケジュールだと、花が開花してからずいぶん時間がかかる場合もあります。
この項では、1段目の花の開花を基準とし、どの時期で苗を植えるのが良いのか解説します。
家庭菜園用の苗なら開花前がオススメ
家庭菜園でトマトの栽培を行う場合、
オススメの苗のステージは1段目の花の開花前のステージです。
本題に入る前に、言葉の解説です。
例えば、「本葉が5枚のステージ」や「3段目開花のステージ」など、葉の枚数や、開花している段数を目安にする事が多いです。
よく「1段目の花が開花」している苗の状態を、植え付けを行う目安のステージにされる事が多いです。
栽培の現場では「開花苗」というようにも呼ばれています。
トマトの栽培は、苗を植えてからは、茎葉の生長と、果実の生長のバランスをとりながら、灌水や追肥等の栽培管理を行う事がポイントとなります。
一般的に、
- 開花前の苗を植えると、茎葉の生長が良くなりやすい
- 開花後の苗を植えると、果実の生長が良くなりやすい
開花している最中頃で苗を植える事が、茎葉と果実の生長のバランスをとりやすく、適する時期とされています。
家庭菜園でトマトを栽培する場合は、苗を植えてから、灌水、追肥の管理が不十分になるケースが多く見られます。
苗の定植後、しっかり灌水、追肥の管理を行える方は、最もバランスのとりやすい開花苗を植えるのが良いです。
いつも、植えた後、株の元気がなくなる(茎は細くなる、葉が小さくなる、上のほうの果実が成らないなど)状況がよく発生する場合は、
開花する前のステージで苗を植える事をオススメします。
それは、
以上、トマトの苗の選び方について、解説しました。
自分で栽培しているトマトの収穫が難しい場合や、プロの生産者が育てたトマトを食べててみたい時は、野菜の宅配サービスの利用もオススメです。
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy Tomating!!