先日、機会があってヨーロッパ・オランダのトマト栽培農家さんへ、視察見学に行ってきました。
立派な連棟の温室の中で、とってもキレイにトマトが栽培されていました。
数カ所の現地の農家さんを回りましたが、どの温室も、トマトの生長点を高い場所で誘引する、ハイワイヤーの方式を取り入れていました。
あれだけ、トマトの生長点の位置が高くなると、普段の管理等が大変になるのではないかなと思うのですが、どうなんでしょう?
自分のハウスでも、あのようなハイワイヤーの方式でトマトを栽培すると、かっこいいよなーと思うのですが、やっぱり導入にはコストもかかりそうだし、大変そうです。
トマトのハイワイヤーの栽培について知りたいです。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
ハイワイヤーの方式で、しっかり管理されたトマトの見応えはすごいですよね!
僕も過去に仕事をしていた海外の温室は、ハイワイヤーの方式を導入していました。
トマトのハイワイヤー栽培は、栽培現場の見た目以外にも、生育の面でも多くのメリットがあります。
今回は、トマトのハイワイヤー栽培について解説します。
トマトのハイワイヤー栽培とは
名前のとおりで、高い所のワイヤーを設置する事が特徴となります。
オランダがこの栽培技術の発祥とされており、少ない国土・農地の中で最大限の収量を出すための方法として、現在でも現地の多くの生産者が利用しています。
誘引用のワイヤーの高さが3m前後に設置される
地上3.0〜3.5mに誘引用のワイヤーが設置される事が多く、高い位置から、誘引紐を吊り下げトマトを固定します。
通常の栽培でも、誘引紐を利用する吊り下げ誘引の方法を、利用する事がありますが、誘引紐の高さは地上1.8m前後に設定する場合が多く、この誘引紐の設置する高さが、ハイワイヤー方式の特徴です。
ハイワイヤー方式の導入には、高軒高の施設が必要
高い場所に設置する誘引紐に対応するためには、軒高の高い施設が必要となり、軒高4m以上の温室での利用がほとんどです。
ハイワイヤーの方式に合わせた施設、資材が必要
3m前後での誘引作業を行うには、台車が必要となります。
台車用のレールが設置される事多く、施設内加温に使用する温湯パイプが、レールとして利用されます。
台車は電動式で、前後、上下に移動するものや、手動で動かすタイプがあります。
また、レールを利用しないものもあります。
ハイワイヤーの方式は、吊り下げ誘引を利用
栽培期間中の誘引に必要となる長さの誘引紐が巻かれてる、ボビンと、その誘引紐とトマトの茎を固定するクリップを利用します。
ボビンはワイヤー間の移動と、紐を伸ばす事が簡単で、吊り下げ誘引を容易に行う事ができます。
トマト以外の作物の栽培にも、ハイワイヤーの方式は使用されています。
キュウリや、パプリカなど、長期の栽培となる果菜類の作物の栽培で、利用されています。
トマトのハイワイヤー栽培の導入メリット・デメリット
では、トマトのハイワイヤー栽培のメリットについて解説します。
トマトのハイワイヤー栽培のメリット
トマトの受光体勢
誘引紐の高さを上げる事により、収穫果実の果房から成長点までの茎を、直立に誘引する事ができ、株全体の採光性が良くなる。
この事で、冬期の栽培も行いやすく、周年の安定した栽培を行いやすくなる。
また、誘引方法の調整する事で、茎を斜めに誘引する事も可能で、夏場の裂果の防止など、季節に合わせた誘引が可能となります。
作業性の向上
ハイワイヤー方式は、収穫作業や、葉かき作業(誘引するの必須)を、作業する人の腰の高さで行う事が可能です。
作業する人の、作業の姿勢が改善され、快適にかつ効率的に作業を行う事ができます。
また、誘引作業も、専用のボビンと、台車を利用する事で効率的に行う事も可能です。
栽培環境がかっこいい
だいぶおまけ的な、メリットですが、ハイワイヤーの方式で栽培するトマトの栽培現場って、とっても素敵です。
約3mの高さでトマトの茎葉が生育するわけで、その株が数千株も栽培されると、その風景ってとってもキレイです。
トマトの栽培管理は、大変ですが、ハイワイヤー方式の導入で栽培管理する人のモチベーションが上がるかもしれないですね。
トマトのハイワイヤー栽培のデメリット
導入コスト
ハイワイヤーの方式を導入するには、高い軒高の施設が必要となります。
そのため、ハイワイヤーの設備費用に加え、施設の費用も高額となります。
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy Tomating