トマト栽培ハウスの効果【農家の人は絶対に必要】

質問する人
トマト農家として就農する事を考えています。
研修で見学させてもらったベテラントマト農家さんは、トマトの栽培するなら、ハウスを建ててその中で行う事が必要と言われました。
確かにハウスを使う方が良いと思うけど、資材を買うのにお金がかかるし、建設するのも大変そう・・・
家庭菜園の方が露地でトマトの栽培をするように、就農後数年は露地でトマト栽培する方針はどうだろう?
ハウスを利用してトマト栽培するメリットについて知りたいな

 

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
多くのトマト栽培をハウスを利用して行っており(場合によって露地での栽培も)、ハウス、露地、両方のケースの特徴、違いも確認しています。

家庭菜園でトマトの栽培がしたいけど、畑が準備できない方は、レンタル式シェア農園の利用がオススメです(手ぶらで行けて栽培サポート付きです)。

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農家としてトマト栽培を行うならハウスは【絶対】に必要です

ハウスの設備が絶対に必要な理由

トマト農家はトマトを生産して販売する事が仕事だから

農家としてトマトの栽培をする方、されている方の多くは数十年という長いスパン(最低でも5年とか)で、経営する事を考えていると思います。

ハウスの利用には部材の購入や、施工の依頼などのに大きい費用がかかりますが、それでもメリットが出るのは、長いスパンで栽培することで、出費よりも得られる効果が上回るからです。

次になぜ、効果が上回るかについて解説します。

売り上げが上がる

ハウスを利用してトマトを栽培する事で、露地栽培では出荷できない早期、または晩期の生産・出荷が可能となり、高単価の時期の出荷が可能となります。

売り上げが上がると共に、トマト販売による収益を得られる時期が、早く始まり、遅くまで続きます。

また、生育管理のコントロールがしやすくなり(自分が行った灌水、肥料の管理の効果がでる)、収量と品質が向上し、これらの事ももちろん、売り上げが上がる要素となります。

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毎年のトマト栽培(収量や品質)に再現性が生まれる

ハウスを利用する事によって栽培が安定(その年の気象条件によるトマトへの生育の影響が少なくなる)し、出荷の計画を立てやすくなります。

納品予定に対する出荷実績を守りやすく、納品先からの信頼が得やすくなります。

また新規販路を開拓する時の営業活動時などにも有利になるでしょう(将来の栽培する年の収量、品質を収穫する前から予想しやすくなります)。

 

例えば)
ハウスを使わず露地で栽培とします。

前年は、晴れの日が多く栽培面積1,000㎡あたり、8トンのトマトが収穫できたとします。

今年も前年並みの収量で計画していたけど、例年以上に雨の日が多く、トマトの生育が悪くなり、収量は2トンでした。

では、来年の収量は何トンになるかなー?と予定を立てたくても、露地栽培の場合は、来年やその先数年の収量の計画を立てるのは非常に難しいです。

なぜなら未来の天候はわからないからです。

これに対して、ハウスを利用した栽培の場合、前年のトマト栽培は平年並みの気象条件で、栽培面積1,000㎡あたり6トンの収量がでたとすると、この数字を基準としやすく、露地栽培に比べると再現性は高くなります。

もちろんいくらハウスを利用しても栽培管理よりも気象条件のほうが強く影響する事はありますが、翌年の収量予想を、5〜7トン程度とする事ができます。

なぜ、トマト栽培でハウスを利用すると、収量、品質が向上するのかを、ハウス栽培のメリット、デメリットと共に説明します

ハウスを利用してトマト栽培を行うと収量、品質向上する理由

ハウス利用時のトマトの生育に対するメリット

  1. 栽培環境の保温、温度管理ができるようになる
  2. 降雨に影響される事なく、灌水管理をコントロールできる
  3. 雨天時でも作業できるようになる

栽培環境の保温、温度管理ができるようになる

ハウスを建てフィルムを展張し保温管理を行うと、ハウス中の温度は露地栽培の環境に比べると、日中で5℃〜15℃、夜間で3℃前後高くする事ができます。

ボイラー等の加温の設備を使わなくてもフィルムの開閉管理のみで効果があり、このハウスをベースに2重ハウスを設置したり、ハウスの中にトンネルの設置や、ボイラーで加温したりとすると、効率的に温度管理をする事ができます。

このことにより、トマトの栽培時期前進、延長が可能となり、春、秋、冬期の流通が少ない引き合いの強い時期に、高単価で商品を納品できるようになります。

降雨に影響される事なく、灌水管理をコントロールできる

トマトの収量を上げるためには、適切な株の草勢管理(葉が多すぎず、小さすぎずバランスの良い大きさで展開していく事)が重要です。

そのためには、施肥管理と共に灌水管理が大きく影響し、必要以上の灌水は、茎葉の過繁茂(葉が大きくなりすぎて生育のバランスをくずす事)、地温の低下や、土壌内の過湿による根の伸長阻害の条件を作り、順調な生育に悪影響を与えてしまいます。

収量を多くするには、規格外の果実を減らす事も必要です。

収穫前に果実の一部が割れてしまう「裂果」も、必要以上の灌水を行った際に発生しやすく、ハウス設置とフィルム展張で雨よけをする事により、発生を減らす事ができます。

また、トマト果実の糖度を上げるためには、灌水量を少なくする事が有効な場合が多く、トマトの品質向上のためにも、灌水管理のコントロールが必要となりま

以上のように、ハウスにフィルムを展張する事により、降雨からのトマトへの灌水をふせぐ事ができ、収量、品質の向上に大きくつなげる事ができます。

 

注)ハウスを利用した栽培でも、地下水位の高い場所で栽培する場合は完全にコントロールできない場合があります。

地下水位の条件がトマトの生育に大きく影響を与える場合は、防根透水シートなどを利用して対応する方法などを検討しましょう。

雨天時でも作業できるようになる。

天候を問わずハウス内の作業の計画を立てる事ができます。

管理作業も、もちろんですが、特に収穫作業を天候に関わらず行える事は、納品予定にそった出荷には、重要な条件になります。

トマトの他にも、露地の畑で他の作物を栽培していると、天候の良い日は露地作物の管理を行い、雨天日にハウス内のトマトの管理作業を行うという作業スケジュールの組み方も多いと思います。

トマトの生育には直接関係ない内容ですが、農家さんの作業の効率を高める重要な要素になります。

ハウス利用時のトマトの生育に対するデメリット

  1. 夏場のハウス内温度の上昇
  2. 台風接近、通過時に対策が必要

夏場のハウス内温度の上昇

ハウスで栽培するときは、ハウス内の温度調整のため、サイドのフィルムの巻き上げの装置を設置し換気の管理をします。

場合によってはサイドフィルムの換気だけではなく、天井フィルムの場所にも換気設備を設置して効率を高めますが、それでも夏場の日中の温度は非常に高くなり、私が栽培の経験が多くある、北海道札幌市での栽培でも簡単に35℃以上になります。

ハウス内が高温の条件となる事で、デメリットとなる具体的な事は2点

・トマトへの高温障害

トマトの生育適温は、日中20〜30℃、夜間10〜20℃程度で、夏場のハウス内の栽培環境は、この条件から離れてしまいます。

この事で、草勢の弱まり、収量の低下、軟果玉の発生による秀品率の低下、高夜温による品質低下などにつながります。

 

・栽培管理する人の労働環境の悪化

高温となるハウスの中での作業は、暑いだけで体力が奪われ、効率の良い作業を長時間行う事が難しくなります。

このように夏の時期のハウス栽培では、ハウス内が高温となる日中の時間帯を避け、管理作業や収穫作業を行う事が効率的に作業をするために必要な条件となります。

特に収穫作業は、収穫後の鮮度保持のために果実品温が低い時間の収穫が必要であり、効率的に作業できる時間帯が狭まります(アルバイトさんや、パートさんに作業をお願いする時は、朝4時とか、5時とか、6時からとか、早朝の時間に作業をお願いしたくなるので、工夫や調整が必要です。)。

芽かき、誘引、葉かきなどの通常の栽培管理も、日中の時間帯を除いて、早朝と夕方の時間帯を中心にハウス内作業を行うと良いでしょう。

 

台風時の対策が必要

勢力にもよりますが、台風の接近、通過により強い風が吹く場合はハウスの破損、崩壊のリスクも出てきます。

台風が接近、通過する前には、天井フィルムの押さえバンドの増し締めや、ドア部の補強など行う事が必要となります。

なかなか判断が難しい場合もあると思いますが、場合によっては、ハウス内の作物にダメージを承知で、フィルムを除去してほうが、ハウス骨組みへの影響はなくなる場合もあります。

フィルムを張ったまま強い風を受けると、ハウス倒壊のリスクが高まり、場合によっては立て直しが必要となる場合もあります。最近は事前の天気予報も精度も高いので、情報をもとに的確な対応もしやすいと思います。

トマト栽培のハウス準備の実際(ハウス部材の費用と施工依頼料の目安も解説)

ハウスを利用してトマト栽培を行うメリットについて、解説してきました。

費用はかかるけど、絶対に利用したほうが良いとオススメしてますけど、その費用ってどの程度なのかについて解説します。

ハウス建設に必要な場所の面積に目安

トマトの営利栽培(家庭菜園や市民農園で行う趣味の栽培ではなく、商売として行う栽培)で、ハウス栽培を行う場合はある程度の面積が必要です。

1,000㎡(10a[アール])程度が最低ラインになるかと思います。

1,000㎡のトマト栽培の場合、栽培する株数は2,000〜2,500株となります。

 ハウス部材の費用の目安

同じ面積のハウスを設置する場合でも、使用する部材の規格によってハウスの使い勝手、強度、費用も変動します。

今回は、ハウスの幅(間口)6m、長さ25m、アーチパイプ径25mmの規格の部材を利用し、ハウス面積:150㎡/1棟の規格のハウスを6棟設置する場合を例に紹介します。

 

ハウス部材の費用(被覆用フィルム、サイド巻き上げ換気装置含む)[ホームセンターの価格参照]

150㎡/1棟あたり、528,000円(税込)です。

ハウス販売サンプル
https://www.komeri.com/より

 

これを6棟設置し、900㎡のハウス栽培面積する場合は、

3,168,000円(税込)/6棟となります。

この金額は実際にホームセンターで販売されている規格のものの金額ですが、部材の規格の設定の仕方によっては、もちろんハウスの強度や予算も変動します。

 ハウス施工の費用

経験のある方ですと、ハウス部材のみ購入して、ハウスの施工を自分で行う方もいると思います。

ただ、経験のない方ですと、自分の組み立てを行うのは難しいと思いますので、業者さんにお願いするほうが良いと思います。

 

施工依頼の費用ですが、さきほど紹介したハウスの規格の場合で、

1棟あたり、300,000〜500,000円程度、6棟で1,800,000〜3,000,000円程度が目安になるかと思います。

 

この情報は、私の知り合いのハウス施工業者から得ていますが、もちろん各業者によっても、依頼するハウスの規格や、部材の購入も含めて業者に依頼するかなどでも、費用は変動すると思いますので、その点も確認してみてください。

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