でも、実がつかなかったり、果実が赤くならなかったりの話をよく聞きます。
これはトマトの栽培が難しいからなのでしょうか?
農家の方も、トマトは技術が必要で難しいと話していました。
結局のところ、トマト栽培って難しいのでしょうか?
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
今回の質問のように、トマトは難しいのかという質問をよく受けます
この記事は、その時にどのように解説しているかを紹介します。
トマト栽培は難しいのか?
もちろん人によって意見が分かれると思います。
ここでは、僕が考える、難しいのか、そうでないのか?をズバリ答えます。
ズバリ!トマト栽培は難しいです
難しいと答えている一番の理由は、栽培技術と経験がトマト栽培の結果に大きく関係するからです。
つまり、営利栽培を行う時に、利益を出すのが簡単ではないと判断できるからです。
例えば、2件のトマト農家さんがいるとします。
同じ場所で、同じ時期に、同じ品種と資材を使って栽培をしても、その農家さんが持っている栽培技術や経験によって収量、品質の結果は大きく変わります。
それによって、トマト栽培での売り上げも変わります。
他の野菜で解説してみます。
ほうれん草の栽培の場合は、栽培技術以外が同じであれば、トマトほどは収量や品質に差は出にくいです。
厳密に解説すると、トマトを植えるだけであれば、そんなに難しくないと思いますが、
トマトの上手な栽培、良い栽培、利益が出る栽培を行う事は、ズバリ難しいです。
トマトの栽培が難しい理由
トマトの栽培は難しいのか、そうではないか、白黒ついたところで、次はその理由を、栽培技術の面から詳しく解説していきます。
大きな理由は3つです
- トマトは収穫される部位が果実だから
- トマトの果実が赤いから
- 連続的に果実を収穫するから
トマトは収穫される部位が果実だから
トマトに限らず、果実を収穫する「果菜類」の野菜は、「葉菜類」、「根菜類」に比べると栽培が難しいです。
トマト等の果菜類は、種をまいた後は、苗(茎葉)ができ、それを植えて、花が咲き、茎葉を成長させながら、その後果実の収穫となります。
このような行程は、
- 栽培期間が長くなる
- 葉と果実を同時に成長させなければならない
という条件を作ります。
・栽培期間が長くなる
トマトは夏秋の作型の栽培だと、植え付けができる苗に成長するまで(種まきから最初の花が咲く)に、
葉と果実を同時に成長させなければならない
トマトの栽培の場合、花が咲いてからは、茎葉を成長させるための水や肥料の管理と、同時に、果実を大きくするための水、肥料の管理が必要になります。
また、トマトは茎葉の生育と、果実の生育のバランスをとる事が、良作には重要となり、この管理も栽培を難しくする要素となります。
トマトの果実が赤いから
トマトの果実が赤くなるのは、果実が熟している証拠です。
もし、トマトは熟する前の、果実が緑色の状態で食べる文化があり、赤くなる前に収穫できるのであれば、トマト栽培の難易度も下がります。
ナス、ピーマンもトマトと同じ、果菜類であり、種まき〜定植(最初の花の開花)の日数はトマトと、ほとんど変わりません。
しかし開花後〜収穫までの日数は14〜20日で、トマトの1/3程度とです。
これは、ナス、ピーマンは完熟果ではない、幼果の状態で収穫しているためです。
僕はナス、ピーマンは、トマトに比べ、栽培が容易と思っています。
それは、上の項で解説した栽培日数の条件が当てはまるからです。
連続的に果実を収穫するから
果実を連続的に収穫する事もトマト栽培の特徴であり、栽培を難しくする理由でもあります。
最初の果実の収穫が始まると、栽培者が栽培を終えるまでの期間、新たな花が咲き、収穫が繰り返されます。
果実の生長は、茎葉の生長よりも栄養が必要です。
その栄養を作るの役割は、葉が持っています。
成長中の果実がある期間は、葉は自分自身(葉)の十分な生育を保ちながら、果実のための栄養も光合成によって作る必要があります。
このように、葉と果実の両方に十分な栄養を提供する事は、葉にとってとても負担がかかります。
そして、この葉に良い働きをさせる事ができるかどうかは、トマトを栽培をする管理者の技術が大きく関係します。
メロンや、スイカもトマトと同じように、完熟の状態で果実を収穫しますが、僕はトマトより栽培が容易と思っています。
それは、メロン、スイカは果実の収穫が、1回だからです。
1回の収穫に合わせて、茎葉と果実の生育のコントロールができます。
1回の収穫時に良い果実が収穫できれば、その後に茎葉の生育が悪くなっても影響がありません。
このように、完熟果の連続収穫には、灌水、肥料の管理等の栽培技術が結果の善し悪しに関係します。
トマト栽培が難しいと思われるは、極端な灌水の控えも原因
特に、家庭菜園でトマトの栽培を行っている方に多い間違いがあります。
それは、トマトの栽培は水やりを控えた方が良いということです。
でも、
トマトはお水が大好きです。
トマトは水をやらなくても良いというのは間違いです。
家庭菜園の愛好家の方と話をすると、上手にトマト栽培ができないという相談をよく受けます。
そういう方に共通している、管理の方法に、
という事があります。
灌水したいけど、忙しくてとか、時間がなくてとか、ではなくて、
みなさん、積極的に灌水を控えているのです。
理由は、
トマトの原産地は南米で、雨がほとんど降らない土地の条件。
そして、その原産地の環境を再現する事が、トマトの良い生育につながると思っているからです。
極端に灌水を控えると、茎葉で十分な栄養を作る事ができず、果実のための栄養の前に、葉自体の栄養不足となり、葉が小さく、茎が細く、花が咲いても栄養不足で、果実がならないような状況になります。
家庭菜園などで、プランターを使って栽培するときは、使用できる培土の量に限りがあり、畑の栽培よりも、多くの灌水、追肥を行う事が必要になります。
積極的に灌水を控えていて、トマトがうまく生育していないとお悩みの方は、十分な灌水を行う方法を、試してみてはいかがでしょうか?