【解決】失敗しないトマトの水やり【水を控えるのは3段目の開花から】

質問する人

トマトの水やりが難しいです。

トマトは、「水をやらないほうが、よく育つ」と聞くので、ほとんど水をあげていません。

でも、何だか元気がないような気がしています。
茎は細いし、葉は小さいし、果実は実らないし。。。
自分のやり方が、本当に正しいのかわかりません。

トマトの水やりの方法を教えてください。

 

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、17年間トマト栽培を行っております。

 

国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市を拠点にトマト農家をしています。

 

このブログでは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等と紹介しています。

 


 

トマト栽培の中で、

 

水やりの管理は、最も大切なものと言えます。

 

やり方次第では、

 

萎れて枯死したり、

十分な生育の強さを保てず、収穫量が少なくなったり、

糖度の低い、食味の悪い果実の生産。

 

というように、

収量や品質に大きく関係するものです。

 

よくある失敗の例として、

 苗を植えた直後から水やりをしない。

事があります。

 

これでは、その先のトマトにかかるストレス(果実が大きくなる、糖度あげるために灌水を控える)に耐える事ができず、

栽培がうまくいきません。

 

1度の水やりは、どの程度の灌水量がいいのか?

などの詳しい方法も大事ですが、

 

まずは、栽培の中のどの時期で必要になるかを、理解する事も重要です。

 

この記事では、失敗しないトマトの水やりの管理方法を解説します。

 

適切な水やりの管理をしていても、肥料が不足していてトマトの生育が順調に進まない事もあります。

この記事では、元肥等肥料の条件が整っている事を前提に「水やり」解説しています。

必要に応じて、液肥等で追肥の管理も行ってください。

 

家庭菜園でトマトの栽培がしたいけど、畑が準備できない方は、レンタル式シェア農園の利用がオススメです(手ぶらで行けて栽培サポート付きです)。
みんなで育てて、みんなで食べる【シェア畑】

 

スポンサードリンク

3段目開花まではトマトの水やりが必要な理由

3段目開花まではトマトの水やりが必要な理由

 

トマトの苗を植えてから、3段目の花が咲くまでは、十分な水やりが必要です。

 

ストレスに対応できる体を作り、準備を万全にするためです。

 

トマトのストレスは主に2つあります。

  • 糖度を上げるためのストレス
  • 実る果実が多く、重くなる事のストレス

 

トマトはストレスを受けて甘くなる

 

トマトは、水やりが少ないとよく育ちません。

 

しかし、

 

トマトを甘くするには、水やりが少なくする事も必要です。

 

ただ、水を少なくするのは、トマトの生育が順調な時に限ってです。

 

トマトを甘くするには、ストレスを与える事が必要です。

 

  • 水分ストレス
  • 塩類ストレス

がよく利用されます。

 

実る果実の数が増え、大きくなるとストレスがかかる

 

株の中で実らせる果実の数を増やす事、果実を大きく成長させる事は、

 

トマトにとって負担になります。

 

果実の成長のために、多くの養分を必要となるからです。

 

果実の成長負担が増えるほどに、葉はより多くの養分を作らなければなりません。

 

これも、トマトにとってはストレスとなります。

 

ストレスに耐えるには体力が必要

 

ストレスを与えると、トマトの株に負荷がかかります。

 

 十分な体力がないと、その負荷に耐える事ができません。

 

 例えば、

苗を植えた直後から、水やりを少なくして、ストレスを与えると、

 

十分な体ができておらず、生育が極端に悪くなります。

 

最初につまずくと、その後、いくらケアを行っても回復しません。

 

スポンサードリンク

ストレスを与えるなら3段開花以降

 

トマト栽培の目的は、人によって変わります。

 

甘いトマトを収穫したい方は、ストレスを与える必要がありますが、

 

そのストレスをあたえる開始時期は、

3段目以降とします。

 

それまでの期間は、十分な水やりを行い体作りを行います。

 

糖度は気にしないで、たくさん収穫したい方は、

3段目以降も、十分な量と頻度で水やりを続けてください。

 

そもそも本当に少ない水やりが正しいの?

 

「トマトは水をやらないほうが、よく育つ」という方がいます。

 

そのような考えになる理由は、

 

トマトの原産地は南米だから、

 

南米の場所によっては、一年中ほとんど雨が降らない気象条件だから、

 

その条件を再現するべき

 

という事です。

 

十分に水を与えたほうが良く育ちます

 

良い生育をさせるには、

 

十分な水やりが必要です。

 

なぜなら、

 

光合成には水が必要だからです。

光合成で作られる養分でトマトの体は作られるし、生命を維持するからです。

 

野生のトマトは、好んで雨の少ない場所で生育しているのではなく、

自分で移動できないので、過酷な環境に工夫しながら生育しています。

 

トマトの水やりは感覚ではなく数字で行う

トマトの水やりは感覚ではなく数字で行う

 

トマトの水やりを感覚で行うのは難しく、多くの経験が必要です。

 

 例えば、

土の表面が乾いたら、水やりを行う。

 

この方法は、感覚で行うものです。

土が乾くという条件にも、さまざまなものがあります。

 

  • 全体が乾くのか
  • 半分乾くのか
  • 少しでも乾くのか

というように、多くのパターンがありますし

 

人によって、判断する感覚が違い、基準を作るのが難しいです。

 

水やりの基準づくりには、数字を使う事がオススメです。

 

数字を目安にすると、

 

誰でも、同じ条件で判断する事ができます。

 

水やりに数字の基準を使う方法は主に2つです。

 

  • プランターの重さをはかる
  • 土壌の水分を測る

 

 

プランターの重さをはかる

 

プランターの中には培土が入っており、水やりを行うと、培土に水が含まれて重くなります。

 

プランターの重さを基準に、培土内の水分を把握します。

 

 基準の作り方

  1. 培土が含まれるプランターに、底から水がでるまでたっぷり灌水を行う。
  2. 時間をおき底から水が出なくなったら、プランターごと重さを測る
  3. 通常の栽培を行う
  4. トマトの苗の一部が萎れだした時に、プランターの重さを測る

 

  • ②の完全に水が含まれている状態を100%
  • ④の萎れだした状態を30%とする

 

 

 苗の定植後~3段目までの開花まで

  • 60~70%となった時に灌水を行い100%にする

 

 

 3段目開花以降

 

甘いトマトを収穫したい場合は、

  • 30%になった時に灌水を行い100%にする

 

収穫量を増やしたい場合は、

  • 60~70%となった時に灌水を行い100%にする

 

 

水分計の利用

 

さきほど紹介した方法は、プランター(大きすぎないもの)でしか行えません。

 

畑での栽培でも行える方法を紹介します。

 

土壌水分計(テンションメーター)を使う方法です。

 

専用の資材を利用します。

土壌水分計pFメーター(テンションメーター)

 

土壌水分計は単位にpfが利用されています。

下記の時期に目安の数字を上回ったら灌水を行います。

 

苗の定植後~3段目までの開花まで

 

pF2.0を下回ったらpF1.5を超えるように灌水。

 

3段目開花以降

 

甘いトマトを収穫したい場合は、

pF2.3を下回ったらpF1.5を超えるように灌水。

 

収穫量を増やしたい場合は、

pF2.0を下回ったらpF1.5を超えるように灌水。

 

土壌水分計は、センサーを土壌中の深さ13cm以上の場所に設置する必要があります。

 

プランターでも利用できますが、深さが十分あるか確かめて行ってください。

 

では、1回に灌水量の目安は?

 

これまでは、培土や土壌がどのような状態になった時に、

 

水やりを行うと良いかを解説しました。

 

一度の量は、トマトの生育の時期によって変えることが必要です。

一度の灌水の目安の量は以下のとおりです。

苗の植え付け~3段目開花:

500~700cc / 1株あたり


3段目開花~6~7段目開花(収穫開始):

700~1,200cc / 1株あたり


収穫開始以降:

800~1,500cc / 1株あたり

トマトの水やりの効果を知る方法

トマトの水やりの効果を知る方法

 

自分の水やりの方法が、目的としている栽培に役立っているか、確かめる事も重要です。

 

毎作、栽培結果をメモする。

 

方法は簡単で、栽培の結果をメモする事です。

 

その年の収穫できたトマトの量(果実の数、重さ)、糖度を記録して、過去の栽培などと比較します。

 

糖度は、糖度計を利用して測定すると確実です。

アタゴ ポケット糖度計 PAL-1

 


 

これまでトマトの水やりについて、解説しました。

 

自分で栽培しているトマトの収穫が難しい場合や、プロの生産者が育てたトマトを食べててみたい時は、野菜の宅配サービスの利用もオススメです。
らでぃっしゅぼーや(定期宅配コース)

 

以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

 

とまと家・中島がお届けしました。

 

Happy Tomating!!

>野菜の収穫時期管理サービス

野菜の収穫時期管理サービス

家庭菜園や農家さんに役立つ野菜の収穫時期を知る無料サービス【ハーベストタイマー】をリリースしました。WEBサイト版、iOS版を利用できます。登録したデータは、どちらのバージョンでも共有して利用できます。

CTR IMG