約20aのパイプハウスで、5,000株程度の株数のトマトを栽培しているのですが、苗を業者から購入するとコストがけっこうかかるので、自分で種まきから育苗を行い、自家苗を利用しています。
育苗するその年によって、苗の質がバラバラになってしまいます。
まあまあの苗になる時もあれば、びゅんびゅんに徒長しちゃう時もあったりです。
ガチッとコンパクトな苗にしたいと思っているのですが、うまくいきません。
トマトの育苗って気をつける点がいっぱいあると思うのですが、簡単にまとめるとどういう事がポイントになりますか?
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
トマトの育苗は奥が深いですよね。
確かに良い質の苗を安定的に生産するのは、簡単ではないですよね。
でも、1回の育苗で対象になる苗は、数千株から時には数万株になる時もあります。
ビシット集中して、定植後の良い生育につなげましょう。
良い苗を生産するためには、たくさんの事に気をつける必要がありますが、今回は、トマトの育苗でポイントになる事を5つに絞って解説します。
トマトの育苗で大事な管理方法【5選】
1〜3段目の花房が良い条件で花芽分化している苗
徒長していなく、短節間でコンパクトな苗
今回は、この2点を良い苗の条件としています。
そして、その条件にあった苗づくりのポイントを5つピックアップして解説しています。
全て行うのが難しい場合は、できる項目のみでも行ってみてください。
- トマト育苗中の最低気温は10℃以上
- トマト育苗の培土選びにはお金をかける
- トマトの2次育苗の灌水量は1.5L
- トマトの育苗は広い空間で管理する
- トマトの育苗は十分すぎるスペーシング
トマト育苗中の最低気温は10℃以上
特に大玉トマトは、3段目までの果実の秀品率を上げるために、最低気温の管理が重要です。
最低気温を10℃未満で管理する期間が多くなると、3段目までの果実の形が、悪くなり「乱形果」の発生につながりってしまいます。
1段目の花が開花するまでを、育苗期間とする通常の方法では、定植後に収穫する3段目までの果実の要素が、育苗期間に決まります。
果実の要素が決まる期間と書きましたが、これが「花芽分化」といわれるものです。
この花芽分化の時期に決まるのは、
イメージとしての説明ですが、三角形のトマトになるか、四角形のトマトになるか、五角形のトマトになるかです。
苗を植えて、花が咲いて、果実が大きくなる時は、花芽分化の時に決まった形になります。
そして、その後の管理では、大きさ自体は変わりますが、形は変わりません。
例えば、
三角形のトマトがあります。
このトマトが三角形と分かるのは、ある程度果実が大きくなった時です。
その後の管理で、いくら灌水、肥培管理をしても、この果実を四角形にはできません。
でも、三角形のまま大きな果実にする事はできます。
開花後の管理:花芽分化期にすでに決まっている形に基づいて、大きさが決まる。
というイメージです。
育苗中の温度管理はこちらの記事も参考にしてください。
2年前からトマト農家をしています。今後、自分で種まきをして、自家育苗の苗を使用して行く予定です。ハウスなど本圃に定植してからの、トマトの温度管理の解説はけっこういっぱいあるのですが、育苗時の温度管理についての内容が、あま[…]
トマト育苗の培土選びにはお金をかける
播種や鉢上げに使用する培土は、育苗に必要となる資材の中で、最も金額が大きくなるものなるため、なるべく安価なものでコストを減らしたくなるものです。
でも、環境は同じでも、使用する培土によって、苗の生育は大きく変わります。
ガッチリコンパクトな苗を生産するには、育苗の技術や日々の細かな栽培管理が必要ですが、良い品質の培土を使用すると、資材が人間の負担を軽減してくれます。
オススメの培土
どちらの培土も、元肥を含んでおり、NPKの組成が山形です。
今回紹介している商品は、他の培土資材と比べると、高価ですが、1度これらの培土の品質の恩恵を知ると、もう他の培土は使用できなくなりますよ。
播種用の培土は、育苗よりも使用する量が少ないので、まずは、こちらだけでも試してみると、培土の力を体感できるのではないでしょうか。
トマトの2次育苗の灌水量は1.5L
ガッチリコンパクトな苗作りで最も大事な事は、必要最低減での灌水管理です。
セルトレイで行う1次育苗は、多すぎる灌水は厳禁ですが、潤沢に灌水を行ってOKです。
それよりも、セルトレイでの育苗期間が長すぎて、茎葉の密度が高くなり、徒長する方が問題なので、移植遅れにならないように注意します。
ポリポットへ移植してからの灌水管理が重要です。
必要最低減の灌水量ってどの程度かといいますと、
が、1ポットあたりに使用できる目安の量です。
この1.5Lの水のみで、ポリポットへ移植してから、定植するまでの間を管理します。
ちなみに、
使用しますので、
この時期からは、灌水すればするほどに、びゅんびゅん茎が伸び、徒長しやすくなるので、びしびしスパルタで灌水管理をしましょう。
もちろん、1.5Lでは、順調な生育には不足する事もありますので、適宜調整してください。
ただ、このくらいの水の量(1.5L)を使って、灌水するんだなというイメージをもって管理すると、コンパクトな苗作りにつながります。
トマトの育苗は広い空間で管理する
内張ハウス内など、広い空間で低い湿度で、苗を管理できれば徒長のリスクが減ります。
特に、低温期の育苗は、ハウスがあって、内張ハウスがあって、さらにトンネルがあってその中で、苗が管理される事が多いです。
トマトの育苗には電熱線や、加温機の利用が必要な事が多く、加温のコストを減らすためには、やはり狭い空間で、熱エネルギーを効率的に利用する方法がとられます。
しかし、暗黒状態になる夜間に、トマト苗が管理される環境の湿度が高くなると、苗の徒長につながってしまいます。
トンネル等の使用は、空間の湿度が高くなりやすいですが、効率的に保温するには有効です。
広い空間での苗の管理が難しい時は、トンネルでの管理を行いますが、被覆に使用する資材を、一部、不織布などの通気性のあるものに変えると、保温しながら、通期もされ徒長防止に役立ちます。
トマトの育苗は十分すぎるスペーシング
スペーシングは、「株間広げ」と同じ意味です。
1株あたりに使用する面積を多くして、光のあたりを最大化して苗の充実と、徒長防止を行う事です。
過度のスペーシングは、育苗に必要な面積が増え、集約管理しにくくなり、加温機や電熱線利用時の保温の効率が悪くなりますが、その条件をクリアできるのであれば、
トマトの育苗をする時に、スペーシングにやりすぎは基本的にありません。
実際の生産現場では、移植後のポット育苗時の4〜5枚期から行うのが一般的です。
目安のスペーシング後の面積は、1.5〜2.0倍です。
もちろん、1株あたりの面積が大きいほうが、徒長防止に効果が出ます。
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
happy tomating!!