とてもキレイに栽培されていて、玉の太りも良くて、収量の出そうな生育でした。
詳しく聞くと、この品種は、葉かび病(Cf−9)の耐病性がありませんでした。
今は葉かび病に強い品種を使うのが、当たり前と思っていましたが、そうではない場合もあるのですね。
病気発生のリスクが高まっても、利用する価値のある「桃太郎8(エイト)」の特徴について、教えてください。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
桃太郎8(エイト)は、葉かび病(Cf-9)の被害が深刻にまるまで、多くの産地で栽培されていた夏秋大玉トマトの代表品種です。
夏秋の作型で栽培したときの食味の良さ、玉太りが良く、多収量の特徴があります。
最新の葉かび病レースへの耐病性がなくても、適切な肥培管理と、定期的な防除を行えば、葉かび病発生は大まか抑える事が可能です。
そのため、耐病性品種が主体の今でも、この桃太郎8(エイト)を利用する農家さんも少なくないです。
販売から20年以上経つ、現在でも現役の品種となるくらい、高い品種力と実績と人気のある品種です。
今回は、夏秋トマトの定番品種「桃太郎8(エイト)」の特徴や、育て方のコツについて解説します。
菜園アドバイザーが教えてくれる【シェア畑】
桃太郎8(エイト)トマトの品種特徴
現在では、大玉トマトもミニトマトも、葉かび病(Cf-9)への耐病性品種の利用が、スタンダードとっています。
このような中でも、非耐病性品種の桃太郎8(エイト)を利用するのには、魅力的な特徴があるからです。
品種としてどのような特徴があるのか深掘りして、解説します。
「桃太郎8(エイト)」はタキイ種苗から販売されている夏秋大玉トマトの品種
桃太郎8(エイト)は、1993年にタキイ種苗から販売された、夏秋栽培用の大玉トマトです。
この品種が発表されるまでは、元祖・桃太郎、桃太郎T-93が夏秋栽培用品種として、多く利用されていましたが、より夏秋の作型で食味の良さ、栽培性の良さの力を発揮できるように改良された品種です。
販売された当初は、夏秋栽培の産地で問題となっていた青枯病への強かった事、耐暑性が良く夏期の栽培でもスタミナがあり着果も良く、収量が上がる特徴もあったため、販売後から多くの産地で高いシェアを獲得した品種となりました。
販売から20年以上経つ現在でも、夏秋の作型で栽培した際の食味の良さと、収量の高さが評価され、一部の産地で利用され続けています。
「桃太郎8(エイト)」は耐暑性に優れる品種
夏秋の作型で最大のパフォーマンスを発揮する品種です。
夏期の高温下でも、茎が徒長せずに安定した生育をし、花粉の質も落ちづらく着果が安定し、収量の向上につながります。
栽培後半でも、スタミナが続き、上段の果実でも確実の肥大力が衰えず、空洞果の発生が少なく、大果収穫が可能です。
「桃太郎8(エイト)」は食味の優れる品種
食味の良い元祖・桃太郎をベースに改良しており、その良食味の特徴を受け継いでいます。
また、すでに説明したように、耐暑性に優れる品種であり、特に夏場での最良の生育を行います。
この時期に収穫される果実は、糖度、酸味、アミノ酸のバランスが良い深みのある食味となります。
桃太郎8の食味が、2019年の今でも、桃太郎シリーズの中で一番という生産者もいるくらいに、食味に定評のある品種です。
「桃太郎8(エイト)」はスタミナのある草勢
草勢の強さは、中程度(元祖・桃太郎よりおとなしい)のため、果実と葉のバランスをとりやすい品種です。
通常の品種では、草勢が落ちやすい生育の後半でも、スタミナがあり安定した生育を示すため、上段での玉肥大が良く、空洞果の発生も少なく、歩留まりよく高収量となります。
桃太郎8(エイト)トマトの育て方のコツ
桃太郎8(エイト)は高温下での栽培が得意な品種です。
ただ、どんな夏秋の作型でも、低温期の中での生育期間が発生します(特に育苗期など)。
高温の強い分、低温には弱い特性があるため、この時期をいかに丁寧に適正に管理するかが栽培のコツのひとつとなります。
ここでは、「桃太郎8(エイト)」の育て方のコツについて、解説します。
栽培する作型は夏秋の作型とする
夏場の高温下でパフォーマンスを発揮する品種です。
反面、低温下での環境では生育が鈍化し、大きめの葉が採光性の効率を悪くするように働く事もあります。
そのため、できるだけ夏期の期間が長くなるように設定する事が重要となります。
育苗時期は保温に努め、低温障害を回避する
夏秋の作型は、播種後〜定植までの育苗期が、低温期にあたる事が多く、この時期の管理の方法がその後の果実の生育にも影響が出ます。
極端な低温下で育苗管理を行うと、チャック、窓あき果が出やすくなります。
そのため、保温に努めストレスのない花芽分化になるように管理します。
畑準備の際に基肥の量は基準値が向く
基肥の量の設定は、それぞれの栽培環境によって、適正な量が変わります。
例えば、前作までの栽培状況(前の栽培での肥料が土に残っているかどうか)や、堆肥の利用があるかどうかなどです。
すでに、トマトを栽培する時の基準の基肥の量がある場合は、その基準値どおりの量にするのが良いです。
もし、これからトマト栽培の基肥の量を決める場合は、
チッソの量で、10aあたり10〜12kgを目安にすると良いかと思います。
若苗での定植を避けて、低段の花は確実に着果させる
元祖・桃太郎と比べると、草勢のバランスはとりやすいですが、若苗での定植は、その後の生育が強くなりすぎる事につながるため、開花苗の定植を基本とし、若苗での定植は避けます。
同時に、低段の花房(1,2段)開花時には、確実に着果させて、茎葉にある程度の負担をかける事は、葉と果実のバランスをとる上で非常に大事です。
トマトトーンを使って確実に着果するように管理する事が大事です。
栽培後半に積極的な灌水、追肥の管理を行う
桃太郎8(エイト)のもつ、後半までの草勢のスタミナの良さを生かすためには、定植後の株元への灌水を控えめにし、根が水を求めて深い場所まで伸びる事を促進します。
3段目花房が開花して、1段目の果実がゴルフボール大になる事から、定期的な灌水と追肥の管理を行います。
葉かび病の防除を行う
桃太郎8( エイト)は、葉かび病(Cf-9)の耐病性を持ちません。
そのため、定期的な薬剤散布による予防、発生を確認した際には初期段階で、治療系の薬剤を利用し対応します。
薬剤散布の利用とともに、灌水、追肥をしっかり行い、草勢を落とさずに健全に生育させる事も重要となります。
桃太郎8(エイト)トマトの苗、種子の購入方法
桃太郎8(エイト)は、農家さんなどプロ向けの品種として利用される事が多いため、ホームセンターなどで、苗が販売される事が少ないです。
そのため、種子で購入して栽培を始める事が必要となります。
種子の購入はネット販売で簡単に行う事が出来ます。
種子での購入方法
楽天サイト
Amazonサイト
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy tomating!!