トマト品種のカタログを見ていると「「桃太郎ギフト」」という品種を見つけました。
夏の栽培に向いて、病気に強い品種と解説されていましたが、桃太郎シリーズには、他にも夏向きで病気に強い品種があると思います。
それらと比べて「「桃太郎ギフト」」はどのように違う特徴をもっているのでしょうか?
この品種の特徴について、教えてください。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。
桃太郎ギフトは、夏秋トマトで高い人気があった「桃太郎8(エイト)」の栽培性の良さ、食味の良さを保ちつつ、耐病性を持たせた品種です。
桃太郎ギフトが販売される前には、「桃太郎なつみ」という品種がありました。
この品種も、夏秋向けの葉かび病耐病性品種として、開発されましたが、酸味が極めて強い食味と、短節間で草勢が強いという特徴が強く、桃太郎8(エイト)の代替品種にはなりませんでした。
多くの夏秋トマトの産地の生産者の要望もあり、より桃太郎8(エイト)の特性に近く、葉かび病に耐病性を持つ品種として開発、販売された品種が「桃太郎ギフト」です。
食味と栽培性が優れて、病気に強い特性の評価が高く、発売後は「桃太郎8(エイト)」から、「桃太郎ギフト」へと栽培品種の切り替えが行われ、現在も夏秋トマトの産地では高いシェアを持つ品種です。
今回は、夏秋トマトの主力品種「桃太郎8ギフト」の特徴や、育て方のコツについて解説します。
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「桃太郎ギフト」の品種特徴と育て方のポイント一覧
詳しい解説を行う前に、桃太郎ギフト」の品種の特徴と、育て方の要点をリストアップします。
品種の基本情報
販売種苗メーカー | タキイ種苗 |
販売開始年 | 2008年 |
メーカー小売り販売価格(2019年11月時点) | 小袋1袋(50粒)1,815円(税込) |
1,000粒1袋 25,080円(税込) | |
家庭菜園用の苗の流通 | 少ない |
果実の特徴
食味 | 糖度が高く酸味のバランスがよく、うまみが多く極良食味(桃太郎シリーズの中でトップレベルの食味) |
1果平均重 | 210〜220g |
果実の形 | やや腰高 |
1房の果実数 | 4〜5果程度 |
熟期※1 | 早生 |
果実の硬さ※2 | 硬い |
※1)熟期=開花〜着色(収穫可能時期)までの早さ(1.極早生→2.早生→3.中生→4.晩生、の順で早い)
※2)果実の硬さ=(1.普通→2.硬い→3.とても硬い、の順で硬い)
生育の特徴
草勢 | 中程度 |
葉の大きさ | 小〜中くらい |
節間 | 中程度 |
病気の強さ | 葉かび病(Cf-9)に耐病性 |
上手に育てる栽培管理のコツ
適する栽培作型 | 夏〜秋の時期(5上旬〜7月中旬が定植の目安時期) |
若苗定植 | できる |
肥料(基肥)の目安:チッソ | 12〜14kg、リン酸:15〜20kg、カリ:15〜20kg |
定植〜追肥開始時期までの水管理 | 多めに行う |
定植後追肥の開始時期 | 3段目開花の頃 |
追肥の実施頻度 | 週に1回(草勢が弱い時は2回) |
1回の追肥量 | 普通量で行う(1回の追肥量はチッソ成分で1kgが目安) |
夏秋トマト「桃太郎ギフト」の特徴
「桃太郎ギフト」の販売開始後は、夏秋トマトの産地では、以前の主力品種「桃太郎8(エイト)」から、順次品種の切り替えが行われました。
これは、生産者が期待する通りの、栽培性や食味の良さによる、品種力の高さを表しています。
今では、夏秋トマトの定番品種である、「桃太郎ギフト」の特徴を深掘りして、解説します。
「桃太郎ギフト」はタキイ種苗から販売されている夏秋大玉トマトの品種
「桃太郎ギフト」は、2008年にタキイ種苗から販売された、夏秋栽培用の大玉トマトです。
トマトの産地で葉かび病(Cf-9)の被害が深刻となり、それまで主力品種であった桃太郎8(エイト)タイプで耐病性のある、後継品種が望まれるようになりました。
2006年は、葉かび病に耐病性がある「桃太郎なつみ」が販売されましたが、酸味の強い独特の食味と、強草勢の特徴が強かったため、桃太郎8の後継品種とはなりませんでした。
その後に「桃太郎ギフト」が販売され、食味と栽培性の良い耐病性品種として、高い評価を受け、現在でも夏秋トマトの主力品種として、多くの産地で利用されています。
「桃太郎ギフト」は葉かび病(Cf-9)の耐病性を持つ
「桃太郎ギフト」は、葉かび病(Cf-9)の耐病性を持つ品種です。
桃太郎シリーズの中で、葉かび病の耐病性を持つ夏秋品種としては、2番目に開発されました。
現在でも多くの産地で、葉かび病の耐病性品種と栽培されています。
「桃太郎ギフト」は食味が優れる
「桃太郎ギフト」は、たいへん食味が優れる品種です。
この品種の開発の目的は、「桃太郎8(エイト)」並みの食味の良さと、葉かび病(Cf-9)の耐病性を持つ事の、2点がメインとなっています。
このような背景もあり、甘みと酸味のバランスが良く、深いうまみの食味で、プロのトマト農家さんや、バイヤーさんからも高い評価を得ています。
1果平均重は210g程度で、桃太郎8よりもやや、腰高の形の果実に仕上がりやすいです。
熟期は早生で、桃太郎と同程度の早さで収穫が可能です。
果実の硬さあり、流通性、店持ち性が優れます。
「桃太郎ギフト」は初期の草勢がややおとなしい
「桃太郎ギフト」は初期の草勢がややおとなしいですが、3段目の花が開花後は、中程度の草勢となり、栽培管理が容易な栽培性の特徴をもちます。
桃太郎8をベースに改良されているため、定植後初期の時期以外は、ひじょうに似た生育の仕方をします。
桃太郎8の栽培経験のある方であれば、その栽培管理の方法を応用できます。
葉の大きさは、小〜中くらいのため、採光性の良い葉の展開を行う品種です。
そのため、低日照下となる時期でも、栽培が可能となり、夏秋以外にも抑制栽培での栽培も可能な品種です。
夏秋トマト「桃太郎ギフト」の育て方のコツ
桃太郎ギフトは、桃太郎8をベースに改良されているため栽培性の良い品種です。
葉かび病の耐病性が加えられた事で、初期の草勢がややおとなしくなっている特徴を持ちます。
特に夏期の高温下での栽培で、この特徴が生かされますが、逆に低温期の栽培だと、栽培管理が難しくなる場合もあるため注意が必要です。
桃太郎ギフトの特性を把握して、良食味で多収となるための、育て方のコツについて、解説します。
栽培する時期は夏期から秋期が向く
桃太郎ギフトは、夏秋だけでなく、抑制(収穫期が夏〜秋)の作型でも栽培が可能です。
この品種の葉は、中くらいか、やや小さめの大きさで展開して、節間も短くないため、株全体に隙間が出来やすく、弱く、少ない日照の条件でも、株全体に光りが当たりやすいため、秋期の栽培も可能となります。
夏期の出荷よりも、秋期の出荷の方が、販売単価を高く納品できる事もあり、抑制栽培にもこの品種を利用する農家さんもいます。
基肥の量は基準値より1〜2割程度多めが向く
桃太郎ギフトの基肥の量は基準値より1〜2割程度多い設計が向きます。
これは、定植後初期の草勢が、他の夏秋用品種より、ややおとなしい特徴があるためで、基肥の量を増やす事で調整すると栽培しやすいです。
畑準備の際の、基肥の量の設定は、それぞれの栽培環境によって、適正な量が変わります。
例えば、前作までの栽培状況(前の栽培での肥料が土に残っているかどうか)や、堆肥の利用があるかどうかなどです。
もし、これからトマト栽培の基肥の量を決める場合は、
チッソの量で、10aあたり12〜14kgを目安にすると良いかと思います。
低段の花は確実に着果させる
「桃太郎ギフト」は、若苗での定植は行う事のできる品種ですが、低段の花は確実に着果させる事が大事です。
初期の草勢は、ややおとなしいですが、栽培中期以降は十分な草勢を持ち、低段果実の着果の負担が少ないと、果実と葉のバランスを崩しすい状況になるからです。
低段の花房(1,2段)開花時には、トマトトーンを使って確実に着果するように管理する事が大事です。
定植後は灌水量を増やす
桃太郎ギフトは、定植後から3段目の開花時期の間で、灌水量を増やす事が大事です。
この品種の特徴である、初期のおとなしい草勢に対応するためです。
すでに解説したように、基肥の量を増やす方法と同時に、灌水量を多くする管理をするとより良い状態で生育させる事ができます。
夏秋トマト「桃太郎ギフト」の苗、種子の購入方法
桃太郎ギフトは、農家さんなどプロ向けの品種として利用される事が多いため、ホームセンターなどで、苗が販売される事が少ないです。
そのため、種子で購入して栽培を始める事が必要となります。
種子の購入はネット販売で簡単に行う事が出来ます。
種子での購入方法
・楽天サイト
タキイ種苗 トマト 桃太郎ギフト ペレット 2L 1000粒
・Amazonサイト
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy Tomating!!