それぞれの方法には、どのような特徴があって、どのような栽培に向くのかについて知りたいです。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。
この記事を書いている僕は、17年間トマト栽培を行っております。
国内の種苗会社や、農業生産法人で北海道を中心に海外も含め、トマト栽培やトマトの研究を行い、現在は札幌市を拠点にトマト農家をしています。
このブログでは、自分の栽培経験を生かし、生産者の方や家庭菜園の方の疑問、質問に答える形でトマトの育て方等と紹介しています。
トマトの誘引は、どの種類の方法で行うかによって、
使用する資材や、その後の誘引にかかる作業量などが大きく変わります。
そのため、
自分の栽培方針に最も適切な誘引の方法を選ぶ事は、とても重要です。
トマトで利用される主な誘引方法は以下のとおりです。
- 直立誘引
- 斜め誘引
- つる下ろし誘引
今回は、これらのトマトの誘引方法を中心に、それぞれの特徴などについて解説します。
誘引管理の目的と重要性については、こちらの記事も参考にしてください
トマトを栽培する人って、みんな支柱とかを使って茎を固定しますよね。苗を植えてから、ほったらかしにはできないですかね。マンションのベランダでも栽培する事があるのですが、トマトを支柱で高く固定していくと、ちょっと部屋への光の[…]
家庭菜園でトマトの栽培がしたいけど、畑が準備できない方は、レンタル式シェア農園の利用がオススメです(手ぶらで行けて栽培サポート付きです)。
トマトの誘引方法とその特徴
トマトの誘引方法で、主に利用されているものは以下のとおりです。
- その①:直立誘引
- その②:斜め誘引
- その③:つる下ろし誘引
トマトの誘引方法を決める際に、大事な条件になるのは、
- 収穫期間の長さ
- 栽培場所が露地か施設内か
の2点です。
今回は
収穫期間が2ヶ月間前後
の場合で、対象となる誘引の方法を紹介します。
誘引方法その①:直立誘引
トマトの誘引方法で基本となる方法です。
名前のとおり、主枝を直立に固定して、誘引します。
トマトの主枝の伸長に合わせて、30cm程度を間隔として、支柱などと固定します。
紐で縛りながら固定する事も可能ですが、栽培株数が多い場合は、テープナーなどの専用の誘引資材と利用すると、作業の効率化が行えます。
直立誘引の特徴
- ①:露地、施設内、どちらの栽培でも利用される
- ②:作業が容易で作業効率が高い
- ③:直立誘引で利用できる資材が豊富
- ④:同じ高さの場所で比べた場合、収穫できる段数が少ない
直立誘引の特徴の解説
②:1本の主枝に対し、1本の支柱や紐を準備するので作業がしやすい
④:180cmの高さに7〜9段目の花房の花が開花するようになり、それ以降の花房の収穫が難しい
誘引の方法:イボだけ支柱を使用する場合
家庭菜園など露地での栽培の場合は、
風 の害に強いイボだけ支柱を使った方法が向きます。
- 1株(主枝1本)に対し、1本の支柱を準備
- トマトの主枝に近い所へイボ竹などの支柱を地面に差し込む
(露地栽培の場合は20~30cmの深さが必要)
(根へのダメージを避けるため根鉢にはささない) - トマトの主枝の伸長に合わせて、30cm程度を間隔として支柱と固定
(固定する資材は、紐、ビニタイ ロックタイ、専用の誘引資材(誘引テープ)などを利用) - 6段目の開花が始まる前に、支柱とトマトの主枝をしっかり固定する(専用資材の利用がおすすめ)
テープナーの利用は、誘引作業の効率も上がり、使用する固定の資材が光分解性のものを利用できるため、片付け作業も大きく効率化する事が可能です。
支柱を使い、紐と、光分解テープなどで固定する方法の場合、着果数と、果実の肥大が進んでくると、株の重さで支柱からずり落ちやすくなります。
そのため、1株あたり最低1カ所、できれば2カ所は、支柱と株をしっかりと固定できる資材を利用する必要があります。
誘引の方法:紐を利用する場合
- 誘引紐を固定するためのアングル(ハイヤー等含む)を設置
- 苗定植時に紐を吊るし、トマトの主枝と固定
- トマトの主枝の伸長に合わせて、30cm程度を間隔として紐と固定
(固定する資材は、専用のクリップなどを利用)
直立誘引で利用する主な資材(斜め誘引でも利用できます)
イボ竹
20cm程度は地面に埋めるので、180cmか210cmの長さの規格の利用がオススメです。
太さは16mmの規格が、周辺資材との相性が良いためオススメです。
積水樹脂 セキスイ イボ竹 5本パック Φ16 1800mm
支柱用専用固定具
ビニタイや、ロックタイ、分解テープのみでの固定の場合、
収穫前の時期になると、果実の重さが増えて株全体がずり落ちるため、下のようなしっかり固定する資材が必要となります。
誘引用結束機(テープナー)
誘引作業が断然早くなります。
使用するテープは光分解性のものを利用するため、使用後のテープを畑に捨てる事ができ、片付け作業もひじょうに楽になります。
光分解テープ
マックス(MAX) 誘引資材 マックス光分解テープ 200R
誘引方法その②:斜め誘引
トマトの主枝を斜めに固定していく方法です。
45℃程度が、基本の角度ですが、
栽培の条件(目標の収穫期間)などで、調整されます。
資材、作業のコスパが良いため、
トマトの農家さんで利用している方が多い誘引の方法です。
斜め誘引の特徴
- ①:同じ高さの場所で比べた場合、多くの段数まで誘引する事が可能
- ②:準備が必要な資材に対してコスパが良い
- ③:簡易な資材の設置である程度長期の収穫に対応できる(限界はあり)
- ④:トマトの草勢が落ちやすい
- ⑤:葉の重なりが多くなり採光性が落ちる(リーフカバーが多くなる)
- ⑥:誘引作業がやや複雑になり作業に時間がかかる
- ⑦:成長点を低い位置に保ちやすいため、ハウスの換気に対応しやすい
斜め誘引の特徴の解説
②、③:支柱使用の直立誘引と同じ資材でより多くの段数の収穫が可能となる
④:トマトは主枝の角度が真横に近づくほど、草勢が落ちやすい
⑤:採光性のデメリットを補うために、日照条件の良い夏期の栽培に向く
⑥:主枝の角度の調整が必要で、固定の作業もやや複雑になります。
⑦:ハウスの換気場所の高さを超える場所は、高温となりやすく生育が悪くなりやすい
誘引の方法:支柱を利用する場合
- 40cmから80cmを基準に支柱を設置
- 苗の定植後、十分に主枝が伸びだした時に斜め45度を目安に主枝を固定
(予め横方向へ紐を張って、紐と枝を固定する方法)
(すずらんテープを使って、支柱、枝と固定していく方法) - トマトの主枝の伸長に合わせて、30cm程度を間隔として支柱と固定
斜め誘引で利用する主な資材
すずらんテープ
誘引方法その③:つる下ろし誘引
収穫期間6ヶ月以上など、
長期収穫する場合に必要となる誘引方法です。
収穫期間や、主枝の角度など自由が効きますが、専用の資材が必要でコストがかかる方法です。
つる下ろし誘引の特徴
- ①:施設や資材により制限があるが、基本収穫期間に制限がない
- ②:専用の資材が必要となり初期コストが高くなる
- ③:主枝の角度の調整がしやすいため、それによる草勢管理が行いやすい
- ④:誘引作業が複雑で他の方法より作業に時間がかかる
- ⑤:つるを下ろす際に葉かき作業が必要となる
- ⑥:ハイワイヤー栽培でも利用される誘引方法
つる下ろし誘引の特徴の解説
②:紐と、茎と紐を固定するクリップの使用する事が多い。
フック状の資材など専用の資材も販売されています。
③:作業により主枝の角度の調整が容易(採光性の調整にもつながる)
④:誘引紐の延長、成長点場所の移動など
⑤:収穫の終わった茎は葉をなくし、ハンガーなどに収納し誘引を続ける
⑥:ハイワイヤー栽培は長期の栽培が前提のため、つる下し栽培が利用される
ハイワイヤー誘引については、こちらの記事を参考にしてください。
つる下ろし誘引の方法
- 施設の応じて紐を固定するアングルを設置(一度設置すると解体はしない)
- 苗の定植後、誘引紐を主枝に固定し、主枝の伸長に合わせてクリップで固定
- 成長点の高さが作業者の目線程度になった時に、つる下し作業を実施(必要に応じて下葉の管理も行う)
つる下ろし誘引で利用する主な資材
クリップ
つる下ろし用誘引紐
針金タイプの資材もあります。
参考動画はこちらトマトの誘引クリッパー(Qlipr )
これまでトマトの誘引管理について、解説しました。
らでぃっしゅぼーや(定期宅配コース)
以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。
Happy Tomating!!