トマトの2本仕立ての方法【1粒で2度美味しいです】

質問する人
トマトを、2本仕立てで栽培している人と知り合いになりました。
2本仕立ては2本の主枝で仕立てて、1つの苗で2株分の栽培ができる方法ですよね。
2株分のトマトが収穫できるのに、苗のコストは1株分しかかからないという事ですよね。
これって、メリットしかないと思うのですが、何かデメリットってあるのでしょうか?

 

このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事を書きました。

 

この記事を書いている僕は、北海道を中心に海外含め、17年間トマト栽培を行っております。

 

過去には、2本仕立てのトマト栽培も行いました。

2本仕立てはとても、効率的な方法ですが、品種や栽培する時期を選んで行わないと、逆効果になる事もあります。

 

今回は、2本仕立てのメリット、方法などについて解説します。

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トマトを2本に仕立てるメリット・デメリット

トマトを2本に仕立てるメリット・デメリット

トマトと同じナス科の作物は、複数の主枝で仕立てる方法が一般的です。

ピーマンは4本仕立て、ナスは3本仕立てが主流です。

それに対して、トマトは、1本で仕立てる方法が、主流です。

 

一見すると、メリットしかないように思える、2本仕立ての方法ですが、しっかり効果を出すように使いこなすには、灌水や追肥をコントロールする技術が必要となります。

特にトマトは完熟果を収穫するため、他のナス科の作物よりも、根にかかる負担が大きくなります。

 

この事も踏まえて、メリットとデメリットについて把握しましょう。

 

メリット

育苗のコストを抑える事ができる。

これは、とてもわかりやすいメリットです。

 

1つの苗で、2株分の栽培ができるようになりますので、

苗を購入するときは、1本仕立てで行う時の半分のコストで栽培できます。

自分で苗を育苗する時も、種代だけではなく、培土、ポット、育苗の労力も半分になります。

 

そして、最も育苗コストのメリットが出るのは、接ぎ木苗を利用する場合です。

 

接ぎ木するには、穂木と台木の種子が必要です。

そして、接ぎ木の作業が必要になります。

 

接ぎ木苗は1つの苗にかかえるコストが、自根の苗に比べると圧倒的に多くなる分、使用する苗の数を半分にできる事が、大きなメリットになります。

 

 

デメリット

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根への負担が大きくなる

2本仕立ては、1株分の根で、2株分の茎葉に対応する必要があります。

その分、根への負担が大きくなり、十分な草勢を維持することが難しくなります。

ただ、草勢が強くなるのを防ぎたい時など、場合によってはこの根に負担がかかる事を、メリットとして利用できるケースもあります。

 

低段の変形果が発生しやすい

特に大玉トマトの品種で発生が多くなりやすいです。

 

2本仕立ての方法によっては、1つの果房あたりの葉の数が、1本仕立ての時より多くなる時期があります(特に低段の果実)。

その時期に、大きくなって生長する果実で、極端に大きくなったり、変形果となりB品になる事があります。

 

3段目の花房が開花する頃までは、着果の負担が少ないため、特に発生しやすい時期となります。

 

やり方によっては収穫開始が遅れる

幼苗期に摘芯する2本仕立ての場合、1本仕立てに比べると、最初の果実の収穫の時期が1週間前後遅れます。

これは、3枚目の葉を摘芯した後に、1,2枚目の葉からわき芽が伸び出すまでのタイムロス分です。

 

 

トマトの2本仕立ての方法と特徴

トマトの2本仕立ての方法と特徴

トマトの2本仕立ての方法には、大きく2つあります。

 

1段目花房直下のわき芽を使用する。

1番花の開花前後の苗を、購入する場合でもできる方法です。

花芽の下のわき芽は、他のものより強く伸びるため、それを2本目の枝とし、もともとの主枝と合わせて2本に仕立てます。

 

仕立てる2本の主枝が決まった後は、通常の栽培と同様に芽かき、等の管理を行います。

 

わき芽を使用する、2本目の主枝の1段目の花房は、本葉5枚が展開した後につき、その後は3枚おきにつきます。

 

そのため、同じ段数でも、2本の主枝で開花、収穫の時期は異なります。

 

 

 

本葉3枚目で摘芯して、1番2番のわき芽を使用する

本葉3枚目で摘芯して、1番2番のわき芽を使用する

この方法は、本葉3枚展開の時に作業する事が必要なため、自分で播種して育苗するか、セル苗で購入して行う必要があります。

本葉1枚目と、2枚目のわき芽を主枝として利用するため、3枚目の本葉は摘芯します(上の図参照)。

 

この方法は、2本仕立てで利用する2本の主枝の揃いが良く、誘引作業等も行いやすくなります。

反面、低段の果実で過肥大、変形の障害が出やすくもなります。

 

1本仕立てと同じように、1段目の花房の開花まで、待ってから定植すると、苗の時点で2本の主枝が混み合いすぎるため、早めに定植する必要があります。

この事が、定植後初期に勢いが付きやすい原因となるため、元肥の設計や、定植後の灌水管理等に気をつけるのが、栽培のポイントとなります。

 

トマトを2本仕立てにする時の注意点

トマトを2本仕立てにする時の注意点

2本仕立ての特徴を生かすためには、適する作型や、品種選びが重要となります。

 

夏場の栽培で行うのがオススメ

2本仕立てにすると、根への負担が大きくなるため、

地温が高く、地上部の気温もトマトの生育に適する期間が長くなる、夏場の時期の方が、2本仕立ての栽培を行いやすいです。

冬場の栽培は、地温が低く、通常の1本仕立ての栽培でも、根が動きにくい状況となるため、上手に栽培するのには技術が必要となります。

 

強勢台木に接ぎ木して利用するのがオススメ

台木は耐病性の特徴だけでなく、品種により、栽培後半も根の動きが良く、株の勢いを保ちやすいものがあります。

草勢の強い台木を使用するほど、2本仕立てのデメリットとなりやすい、根への負担を軽減でき、少ない苗のコストで最大限の収量を出しやすくなります。

 

トマトの2本仕立ての方法は、特に台木と接ぎ木する栽培で、特に効果を発揮します。

自分で接ぎ木作業と育苗する生産者の方、セル苗で接ぎ木苗を購入する方は、本葉3枚目を摘芯し2本に仕立てる方法の方が、その後の管理がしやすいのでオススメです。

以上、「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。

とまと家・中島がお届けしました。

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