除草剤の使い方を知りたいです。
家庭菜園で利用している畑の雑草が多くなってきています。
時間を見つけて、草むしりをしているのですが、雑草の成長が早く、気づくと数が増えていて作業が追いつきません。
そこで、除草剤を使って対策しようと思っています。
せっかくなので、住宅の周りも一緒に除草の対策をする予定です。
初めて除草剤の作業をするのですが、薬の選び方や使い方について知りたいです。
このような方へ向けて、この記事を書きました。
記事を書いている僕は、17年間トマト栽培を行っております。
野菜の栽培には、雑草の対策も必要で、除草剤の利用の機会が多いです。
景観を保つため、住宅や倉庫、ハウス周辺での利用も行います。
この記事は、自分の経験を生かし、除草剤の使い方について解説しています。
畑や庭、住宅のまわりの景観を保つにために、雑草のない状態にする事は大事です。
草むしりの作業は、地面の雑草を取り除くため、腰をかがめる重労働を、屋外で行う必要があり、
体への負担も大きいです。
少量の雑草の処理であれば良いですが、量が増えると大変な作業となります。
そこで活躍するのが除草剤を利用した除草作業です。
最近では、希釈された状態でボトルが、シャワー状に液剤を処理できる工夫などもされています。
そのため、取り扱う時間が少なく手軽に利用できるようになりました。
しかし、除草剤を利用する際に注意が必要なことに変わりはありません。
便利な薬剤である一方、野菜など栽培目的の作物、周囲の人、ペットなどに悪影響を与えるリスクもあります。
この記事では、除草剤の種類と特徴、安全の作業を行うための準備、方法を中心に、始めて作業を行う方にもわかりやすいように除草剤の使い方を解説しています。
除草剤の使い方①:種類と特徴
除草剤には利用する目的によって、いろいろな種類があります。
どのように効果を発揮する種類があるのか、
自分の利用する目的を比較して、最適な種類を選びましょう。
また、種類によって処理の仕方が大きく変わるため、利用方法もしっかり理解する必要があります。
除草剤の種類と特徴一覧
除草剤には、様々な種類があり以下のような特徴に分ける事ができます。
形態 | 液体 | 粉剤 |
希釈の必要 | 原液(希釈が必要) | 希釈済み(そのまま使える) |
処理方法 | 茎葉処理 | 土壌処理 |
効果の範囲 | 根まで枯れる | 茎、葉が枯れる(根は枯れない) |
作物による効果の有無 | 選択性 | 非選択性 |
作物の栽培地での利用 | 農耕地用 | 非農耕地用 |
茎葉処理タイプと土壌処理タイプ
除草剤の種類は、
- 雑草そのものに薬を処理する→茎葉処理タイプ
- 土壌に薬を処理する→土壌処理タイプ
に分けられます。
それぞれの特徴を解説します。
茎葉処理タイプ
すでに生育している雑草に、噴霧やシャワー等で処理するタイプです。
茎葉処理のタイプはさらに種類を分ける事ができます。
茎葉タイプその①:根まで浸透タイプ
茎、葉に噴霧などで処理された薬剤の成分が、雑草の植物体内を移動し、根まで届き枯死させます。
根を含めて作用するため、効果が安定し、確実に除草効果を得られます。
家庭菜園、プロの農家さん、住宅周辺の雑草処理など、
除草剤の中で、最も多く利用されている種類です。
ホームセンター等で販売されている希釈済み液体タイプは、ほとんどがこの種類です。
よく名前を聞く事のある「ラウンドアップ」もこのタイプとなります。
日産化学 除草剤 原液タイプ ラウンドアップマックスロード 500ml
茎葉タイプその②:茎葉処理タイプ
茎葉に処理された成分が茎と葉に作用します。
根には成分が届かず、地上部のみ枯死し、根は生育を続けます。
そのため、ある程度の日数が経った後は再度、生育を再開する場合もあります。
畦に生育している雑草などに利用される事が多いです。
根まで枯れないため、
- 法面など傾斜地
- 水田の畦
など、降雨等による地崩れを防ぎ、かつ地上部の除草対策する場合に利用される事が多いです。
根まで浸透タイプに比べ、効果が早く処理後数日後には枯死が始まります。
バイエルクロップサイエンス 除草剤 原液タイプバスタ液剤 500ml
原液タイプと希釈タイプ
液剤のタイプには、原液タイプと希釈タイプに分けられます。
- 購入後そのまま使用する事ができます。
- 水との希釈作業が必要なく、シャワー散布が可能なボトルでの販売形態が多く、手軽に利用する事ができます。
日産化学 除草剤 シャワータイプ ラウンドアップマックスロードAL 2L
- 対象の雑草や散布時期などによって任意の倍率で処理できます。
- 利用できる薬液も多くなるためコストの面のメリットもあります。
日産化学 除草剤 原液タイプ ラウンドアップマックスロード 500ml
土壌処理タイプ
土壌に粉状の除草剤を散布して利用します。
除草剤成分が雑草の根から吸収され効果が出ます。
処理後に土の中から発芽してきた雑草の芽にも効果が予防的な方法としても利用できます。
非選択性タイプと選択性タイプ
非選択性タイプ
対象の作物の種類を利用できが、除草(枯死)効果が高いです。
ほとんどの除草剤がこちらのタイプです。
日産化学 除草剤 シャワータイプ ラウンドアップマックスロードAL 2L
選択性タイプ
対象となる(処理される)作物によって、効果が出ないものです。
例えば、
芝生の雑草処理によく利用されます。
芝生は全面に芝が生えておりその中に雑草が生えます。
雑草だけピンポイントで処理するのは、難しいためこのような選択性のタイプが役立ちます。
芝生全面(芝も含めて)に処理する事ができ、効率的に作業を行う事ができます。
農耕地用と非農耕地用
農耕地用
野菜など作物を栽培する場所に利用できるタイプです。
作物を栽培する畑にはこちらのタイプを使用する必要があります。
作物に接触せずに、地面に落ちた薬液は土壌の中で、分解無害化されるため、その後の作物の栽培が可能となります。
日産化学 除草剤 シャワータイプ ラウンドアップマックスロードAL 2L
非農耕地用
学校のグランドや駐車場など、作物の栽培の可能性がない場所で利用されます。
農地用のものとは、別の成分となります。
ほとんどの商品が扮状タイプです。
長い期間(数年)確実に効果が続きます。
ただし、
非農耕地用除草剤 草無大臣(そうむだいじん) 3kg (ブロマシル粒剤)
除草剤の使い方②:防護用具と散布資材の準備
除草剤は薬剤です。
種類によっては、劇物に分類されるものもあり、取り扱いには注意が必要です。
噴霧など作業する際は、薬液が体に付着しやすいため、防護用具の利用が必要です。
散布作業はもちろん、薬液づくり(水と混合)の際も着用します。
除草剤散布時に必要な防護用具
- 帽子
- ゴーグル
- マスク
- 防護服
- 手袋
- 長靴
帽子
普通の作業用の帽子でも、利用できますが、
使い捨てのタイプですと、作業後にそのまま捨てる事ができるので便利です。
ゴーグル
除草剤は目に入ると、処置が大変になります。
ゴーグルの着用も行いましょう。
防護服
雨合羽、ナイロン製のやっけ、不織布製の防護服などを利用します。
作業により除草剤が付着し、使い回しが気になる場合は、作業ごとやシーズンごとに使い捨てで利用すると良いです。
その際は、合羽よりもヤッケの方がコストを低くできます。
マスク
効果の高い薬剤散布用の防毒マスクを選びましょう
手袋
裾が長いものが、薬剤付着を防ぎやすくオススメです。
長靴
除草剤散布時に、薬剤が最も付着しやすい場所は足元です。
除草剤散布時に必要な散布資材
散布用の資材を準備する際に、注意が必要な事は、
薬剤散布(殺菌剤、殺虫剤)用とは別のものを準備する事です。
除草剤専用の資材を準備する事が必要です。
住宅周辺や家庭菜園など、少面積で作業の頻度が少ない場合は、必要最低限の資材に抑えるのが良いでしょう。
希釈済み液体、粒状タイプ
希釈済みのタイプは、ボトルがシャワータイプになっているものがほとんどで、散布用の資材を準備する事なく利用できます。
粒状タイプも、商品の箱が少量ずつ均一に除草剤の粒を撒く用ように工夫されており、そのまま利用できます。
除草剤用ノズルとカバー
除草剤散布を行う時は、薬液が周囲へ飛散する事を防ぐために、専用のノズルを利用する必要があります。
専用のノズルは、細かい霧状ではなく、泡の状態で薬液を噴霧できるようにし、飛散しにくいです。
カバーと一体になっているものが多く、セットで使用します。
手押しの噴霧機用、動力噴霧器(エンジン式など)用と2種類あるので、自分の機材に合うものを選びましょう。
背負式噴霧器
タンクを背負い、手押しのレバーで圧をかけて利用するタイプ
移動しやすく、細かい場所の作業が行いやすいです。
下の商品は、除草剤用の噴霧ノズル、除草剤用カバー、散布を手元で止める事のできるレバーコックが標準で含まれているため、除草剤散布に向きます。
除草剤の使い方③:除草剤薬液の準備
規定倍率と散布量
液体タイプのもの
販売されている除草剤には、
- 予め規定の倍率で希釈されて販売されているもの
- 原液の状態で販売されているもの
があります。
希釈タイプは、そのまま利用できますが、原液タイプは薬液づくりが必要となります。
除草剤のラベルの解説を読むと、
使用倍率には幅があり、低い倍率で濃い濃度の方が、効果が高くなります。
対象となる雑草や、発生状況、散布時期、によって調整します。
例えば、
ラウンドアップの場合:
基本的な使い方:100倍
しつこい多年生雑草:50倍
あきらめていたスギナには:25倍
粉剤タイプのもの
こちらは、そのまま降るだけです。
散布量などは、商品の説明を参考にしてください。
除草剤の使い方④:薬液の散布方法
ここからは、現場での除草剤の散布の方法について解説します。
作物を枯らす薬剤という事をもう一度認識する。
除草剤散布のように、薬液を散布する作業に、農薬(殺菌剤、殺虫剤)散布があります。
農薬の散布も周囲の作物にドリフト(周囲の作物や、人に飛散)しないように、細心の注意を払いますが、除草剤散布の場合、ドリフトは絶対に起こしてはいけません。
作物が枯死してしますからです。
また、注意が必要なのは作物だけではなく、
住宅の周囲や、家庭菜園の畑など、周囲に人がいる場合の散布に対しても注意が必要です。
散布日と散布時間帯
風が強くない
散布作業を行う時に薬剤がドリフトする最大の原因は風です。
そのため、天気予報等で風の強さ、風の向きを予め確認することが必要です。
風速3m以下を作業実施の目安とし、実際の散布場所でも風の強さを注意します。
早朝の時間帯は、人の活動も少ないので、その点でも選ぶと良いです。
散布終了後に降雨がない
散布後、雑草に吸収されて十分な効果がでるには、ある程度の日数が必要です。
商品によりますが、散布後丸1日以上は経過する必要があるものがほとんどです。
効果が出る前に降雨により、作物が水に濡れると効果が安定しません。
雨がふるかどうか微妙。。。
など、少しでも、可能性がある時はやめる判断が良いと思います。
低い位置で丁寧な散布
必要な資材で紹介したように、
除草剤用のノズルとカバーを使用して、飛散を防ぎます。
また、なるべくノズルを低い位置に保ち、カバーをスライドするように散布する事がドリフト防止につながります。
以上、除草剤の使い方について、
「トマトがあれば〜何でもできる!」が、座右の銘。
とまと家・中島がお届けしました。